2022年02月04日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「2022年経済見通し」(7) 新浪剛史・サントリーホールディングス代表取締役社長

会見メモ

サントリーホールディングスの新浪剛史社長が、日本的経営の問題点や今後求められる経営のあり方について話した。

 

司会 中山淳史 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)

 

※ゲストの意向によりYouTubeでの動画公開は行いません。


会見リポート

人材流動化し惰眠脱せよ

赤穂 啓子 (日刊工業新聞社論説副委員長)

 新浪氏は安倍晋三政権から岸田文雄政権まで9年間にわたり、経済財政諮問会議の議員など国の経済財政政策に関わってきた。会見の冒頭に「日本がこのようになった責任の一端は私にもあると思っています」と述べた背景には、やるべき政策が政治の力で変質していく様を止められなかった反省が込められていた。

 世界が大きなパラダイム転換をする中で、日本は「失われた20年、30年」を過ごした結果、経済成長率、労働生産性、賃金とあらゆる面で先進国の中で低位に停滞している。

 新浪氏は「企業が成長への投資をせずに惰眠をむさぼっていた」とし、その要因を経営者の同質性・硬直性が進み、交代するたびに人材が小物化する「マトリョーシカ人形現象」と表した。人材の流動化で「企業にアニマルスピリッツを復活させなければならない」と訴えた。

 社員に対してもリカレント教育、職業訓練を支援し、副業を奨励すべきだとの持論も展開した。大企業に埋もれたミドルシニア層が中小企業でスキルを提供すれば実質的な賃金アップにつなげられる。昨年「45歳定年制発言」で物議を醸したが、言わんとするところは、中高年層が新たな場を得て活躍する機会創出の重要性だと理解した。

 日本は企業にも家計にもマネーが積み上がっており、これをイノベーションの原資にすれば、再成長への武器になる。それを阻んでいるのが社会保障の負担増大であるとし、デジタル化やマイナンバーの活用で応能負担をする仕組みなど、改革を一気呵成に進める必要があるとした。

 最後に日本の政治制度にも言及、「議院内閣制をとる諸外国と比べても選挙の回数が多すぎ、それがポピュリズム的野放図な財政拡大を招いている」と指摘した。課題と解決策が見えていながらも、具体的な行動が進まない最大の原因は、日本の統治構造にあるという問題提起だ。


ゲスト / Guest

  • 新浪剛史 / Takeshi Niinami

    サントリーホールディングス代表取締役社長 / Chief Executive Officer, Suntory Holdings Limited

研究テーマ:2022年経済見通し

研究会回数:7

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