2021年11月04日 13:00 〜 14:00 10階ホール
芳野友子・連合会長 会見

会見メモ

10月6日に連合会長に就任した芳野友子さんが、活動方針やジェンダー平等への取り組み、雇用問題への対応、春季生活闘争に向けた課題などについて話した。

 芳野さんはミシンメーカー東京重機工業(現JUKI)の労組出身。中小メーカーを中心に構成されるものづくり産業の産業別労働組合であるJAMで2015年から副会長を務めた。会長に女性が就任するのは連合設立以来初。JAM出身としても初。

 

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

運動にジェンダー視点貫く

東海林 智 (毎日新聞社社会部専門記者)

 「ジェンダー平等の社会へ」。揮毫を手に柔らかに笑った。

 芳野さんは日本最大の労働組合のナショナルセンター「連合」の8代会長に就任した。中小企業を多く組織するものづくり産業労働組合(JAM)の出身。中小産別、そして女性として初の会長だ。「初の…と必ず言われるが、国際的には意思決定の場に約40%の女性が参加している」と気負いはない。もちろん、ジェンダー政策の実現には強い思い入れがあり、「運動の全てにジェンダーの視点を貫く」と意気込む。強い決意は、これまで組合運動にジェンダーの視点が希薄だったことの裏返しだ。

 新型コロナウイルス禍で、多くの市民が影響を受けた。労働者の中では契約社員やパート、派遣労働者など雇用が不安定な非正規労働者が所得減や雇い止めなどで大きな影響を受けた。「リモートワークでも、家庭の中で男性のテレワークが優先されたり、家事、介護の負担が増えたり女性は大変だった。性的役割分担の払拭と分業意識をいかに定着させるかにも取り組まないとならない」と指摘した。役割分担の固定化は「労組の中にもある」と顧みた。

 こうした問題も含め、労働条件を変えていく場が春闘。景況は産業ごとにばらつくが「全ての組合が要求を出して取り組むことが大事だ」と訴える。春闘では賃上げに注目が集まるが「『要求なければ回答なし』だ。会社としっかりと交渉の場を持つことが大事だ」との思いからだ。

 社会・経済発展の原動力となるのは「人への投資」だと確信する。今春闘を「未来づくり春闘」と位置づける。とはいえ、労組の組織率は約17%。連合に組織されない〝仲間〟の声をいかに聞くのか、衆院選の結果を受け政治方針をどう舵取りするのか課題も山積する。「連合運動に共感してもらうには、心に響く活動をしなければ」。そのありようを体現する活動が始まった。


ゲスト / Guest

  • 芳野友子 / Tomoko Yoshino

    連合会長 / President, RENGO(Japanese Trade Union Confederation)

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