会見リポート
2020年02月03日
14:00 〜 15:30
10階ホール
「2020年経済見通し」(5) 総論 高田創・岡三証券理事
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会見リポート
2020年は節目の年
藤井 彰夫 (日本経済新聞社上級論説委員兼編集委員)
新春経済見通し企画のラストバッターとして登場した高田さん。会見は「予想(よそう)の反対は『うそよ』ということで」聞いてくださいという前置きで始まった。
2020年は長い歴史の周期でみても節目の年。特に世界の40年周期と中国の60年周期に注目しているという。
まず高田さんがあげたのは、約40年前の1979年に起きた2つの出来事。第一はイラン革命に続いて79年11月に起こったテヘラン米大使館人質事件。第二は同年10月にボルカー米連邦準備理事会(FRB)議長が打ち出したインフレ退治のための金融政策の枠組み変更だ。
トランプ政権登場後の米国とイランの新たな緊張、世界的なマイナス金利が進むなかでの相次ぐ金融政策の枠組み見直しなど、歴史が新たな節目に来ていることを感じさせる出来事が最近相次いでいる。
中国については「60年周期」が成り立つという。毛沢東の指導のもとに無理な農工業の増産に走り多くの犠牲者を出した大躍進政策(1958~61年)からおよそ60年。大躍進からさらに60年さかのぼる1900年の義和団事件、その60年前は1840年のアヘン戦争勃発。「中国は60年ごとに国難に見舞われている」と高田氏は言う。年明け以降の新型コロナウイルスによる肺炎の感染急拡大は、中国の経済・社会を大きく揺さぶっている。
高田さんは毎年末に「来年のびっくり予想」を公表している。今年の予想第1位は「日本でも環境問題への関心が高まり、緑の党や日本版グレタさんが登場する」というものだ。
そして高田さんが最後に20年代の潮流としてあげたのが投資常識の転換だ。超低金利の長期化で金利がほとんどつかないなかで債券はリスクフリーではなくなり、配当がつく株式の優位性が増すという。労働者が株を買って資本家になるのが格差縮小の早道というのが高田さんの見立てだが…。
ゲスト / Guest
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高田創 / Hajime Takata
岡三証券株式会社理事
研究テーマ:2020年経済見通し
研究会回数:5