会見リポート
2022年12月19日
13:30 〜 15:00
10階ホール
「朝鮮半島の今を知る」(42) 尹錫悦政権の対日政策 元徴用工問題を中心に 崔恩美・峨山政策研究院研究委員
会見メモ
徴用工問題に詳しく、ソウルで7月から9月まで開かれた元徴用工問題解決のための官民協議会のメンバーでもある峨山(アサン)政策研究院の崔恩美(チェ・ウンミ)研究委員が登壇。
日韓関係の現状や徴用工問題解決に向けたこれまでの流れと今後考えるべきことなどについて話した。
崔恩美さんは「法律的問題は韓国、謝罪の問題は日本とするのではなく、ともに考えていくという発想の転換が必要」との考えを示した。
司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)
会見リポート
徴用工問題 共に解決策を
五味 洋治 (東京新聞論説委員)
韓国の尹錫悦大統領は、悪化していた日本との関係改善に意欲を示している。焦点となっている元徴用工問題も、解決策を絞ったと報道されているが、なかなか目に見えるような進展は得られていない。
若手研究者である崔恩美さんは、元徴用工問題の解決に向けて、韓国政府が設置した「官民協議会」に参加し、議論をしてきた一人だ。
その崔さんは個人的意見と断りながらも、この問題に関して「結局、関係者全員を完全に満足させる解決策はない」と断言した。司法や歴史問題がからみ、被害者や韓国政府、国民の中でも考えが違うからだ。
しかし「発想を変えて取り組んでみてはどうか」とも提案した。
官民協議会では、徴用に関係した日本企業からの賠償とその財源、日本側からの謝罪の形式に論議が集中したという。
ただ、謝罪一つ取っても日韓では考え方が違う。崔さんによれば、日本では一回謝れば終わりと考えるが、「韓国では『相手がもう言わなくていいというまで謝罪を続けるべきだ』と考える傾向がある」ためだ。
だからこそ司法の問題は韓国、謝罪の問題は日本と分けるのではなく、お互いの考え方の違いを踏まえ、「日本と韓国が一緒に考えて、一緒に解決策を探すべきだ」(崔さん)。
そのためには首脳同士が会談を重ね、信頼関係を強くする必要がある、と崔さんは指摘した。
韓国の大学でも教えている崔さんは学生に、「韓国だけでできることには限界がある。距離的にも近く、韓国人が馴染みやすい日本の協力が欠かせない」と説明するという。
一方、日本の若者には、「韓国文化を好きというだけではなく、もう一歩踏み込んでほしい。韓国人がどのような考えをしているのかを、歴史的な背景も含めて分かってください」と語った。
確かに、ここにも日韓関係を強くするカギがある。
ゲスト / Guest
-
崔恩美 / Eunmi CHOI
峨山政策研究院研究委員 / Research Fellow∥Ph.D. in Political Science Japanese Studies, Korea-Japan Relations
研究テーマ:朝鮮半島の今を知る
研究会回数:42