2019年02月07日 14:00 〜 15:00 9階会見場
ALS(筋萎縮症側索硬化症)医療研究支援活動「チャレンジJ9」発足会見

会見メモ

ALS治療法研究への支援を呼びかける活動「チャレンジJ9」をラグビー関係者などの有志がたちあげ、発起人に名を連ねる元ラグビー日本代表主将の廣瀬俊朗さん、ラグビージャーナリストの村上晃一さん、帝京平成大学薬学部教授の井手口直子さんが、難病患者のサポートへの思いなどを語った。寄付金は京都大学iPS細胞研究所(山中伸弥所長)で難病治療の研究に使われる。

司会 宮田一雄 日本記者クラブ会員

 

「チャレンジJ9」ウェブサイト

京都大学iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)


会見リポート

ラグビーでつながる遺志、難病治療の募金活動キックオフ

野村 周平 (朝日新聞社スポーツ部)

 9月20日に始まるラグビーワールドカップ(W杯)日本大会にあわせて、元ラグビー日本代表主将の廣瀬俊朗さんらが、全身の筋肉が徐々に失われる難病「ALS」の治療法研究を支援する募金活動を始めた。

 活動名は「チャレンジJ9」。ALSで亡くなった元南アフリカ代表、ユースト・ファンデルヴェストハイゼンの頭文字「J」と背番号「9」から取った。ラグビー界で英雄的な存在として知られる名選手の遺志を継ぎ、W杯決勝が行われる11月2日まで「寄付のパスをつないでいきたい」(廣瀬さん)という。

 1995年に南アで開かれたW杯。黒人のマンデラ大統領が、白人のスポーツだったラグビー南ア代表の応援を呼びかけ、国が熱狂に包まれた。大声援を背に南アは初優勝。人種融和を進めたW杯として歴史に刻まれた。ファンデルヴェストハイゼンはその中心選手だった。

 2008年にALSを発症。17年に45歳で亡くなるまで、「J9基金」を立ち上げて患者の支援や治療法開発のための活動を続けた。廣瀬さんは「僕はいま37歳。彼も37歳の時に発症した。人ごとじゃない。彼の遺志を引き継ぎ、難病について考えることは大事だと思う」と、目を潤ませながら訴えた。

 日本大会の開催年にちなんで、インターネット上で2019円か2万190円の寄付を募る。集まった支援金は、ラグビーを愛する山中伸弥教授率いる京都大学iPS細胞研究所の環境整備に役立てられる。

 引退後は所属する東芝でコーチを務めている廣瀬さんは、選手や元選手が積極的に社会貢献に取り組む大切さを感じている。「社会に対しての恩返し。ほかのアスリートに続いていけばうれしい」

 ラグビーの良さは人と人の濃厚な結びつきだ。南アの英雄の思いは海を越え、アジアの楕円の仲間へ伝わっていく。


ゲスト / Guest

  • 廣瀬俊朗 / Toshiaki Hirose

    日本 / Japan

    東芝ブレイブルーパスバックスコーチ、元ラグビー日本代表

  • 村上晃一 / Koichi Murakami

    日本 / Japan

    ラグビージャーナリスト / journalist

  • 井手口直子 / Naoko Ideguchi

    日本 / Japan

    帝京平成大学教授 / professor, Teikyo Heisei University

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