2018年08月10日 16:00 〜 17:00 10階ホール
「チェンジ・メーカーズに聞く」(25)藤野道格・本田技研工業株式会社 常務執行役員/ホンダエアクラフトカンパニー・エル・エル・シー取締役社長

会見メモ

ホンダジェット開発を主導した藤野氏が、新規の航空機機体メーカーとして審査基準の厳格な米国で型式証明を取得するまでの経緯を裏話をまじえて話した。

 

HondeJet

 

司会 安井孝之 日本記者クラブ企画委員


会見リポート

「ホンダジェット」生みの親  逆境超え、納入数は世界首位

古川 慶一 (日本経済新聞社企業報道部)

 ホンダの小型ビジネスジェット機、「ホンダジェット」が世界の空で羽ばたいている。2015年末に米国で型式証明を取得後、わずか2年後の17年には通年で小型ビジネスジェット機の納入機数で世界首位に。18年も上期実績でトップを維持し、新たに日本での受注も開始した。そんな上昇気流に乗っているホンダジェットの生みの親がホンダ常務執行役員で航空事業子会社、米ホンダエアクラフトカンパニーの社長を務める藤野道格氏だ。いまホンダで最も注目を集めている人とあって、10日の会見には大勢が詰めかけた。

 藤野氏は84年にホンダへ入社してから、86年に航空機の基礎研究が始まると一貫してジェット機開発に関わった。97年にホンダジェットとしての開発がスタートした後も決して順風満帆ではなかった。40人ほどいた開発チームを10人まで減らされたり、会社からは「事業化させない」と告げられるなど逆境が続いた。それでも休暇先で偶然出会った米国人から「絶対買うよ」との応援を受けて奮起し、転機となった05年の展示会での出展に至るエピソードなどを披露した。

 また、会見では世界40カ国からの社員1800人を率いる経営者としてのリーダー論も話した。日本人に多い全体最適を志向する組織マネジメントでは「イノベーションは絶対に生まれない」と強調。チーム運営についても米国での経験から「自分を抑えては最高のアウトプットは生まれない。ホームランを打てる人がどんどん狙える組織を」と語った。

 ゆっくりと、落ち着いた口調ながらも節々で大空への熱い思いを語り続けた藤野氏。今年創業70年を迎えるホンダは「スーパーカブ」といった商品で世界各地に様々な市場をつくってきた。今後は「空」という新市場をどこまで切り拓けるか。藤野氏の次の一手を期待と共に注視し続けたい。


ゲスト / Guest

  • 藤野道格

    本田技研工業株式会社 常務執行役員/ホンダエアクラフトカンパニー・エル・エル・シー取締役社長

研究テーマ:チェンジ・メーカーズに聞く

研究会回数:25

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