2018年07月27日 14:00 〜 15:00 10階ホール
OECD日本の教育政策に関する報告書 発表会見

会見メモ

OECDが9年ぶりに発表した日本の教育政策に関する報告書を、アンドレアス・シュライヒャー教育・スキル局長が説明した。

日本の教育制度の高い成果や公平性を評価した。一方、新学習指導要領の内容を実現するための環境整備や、教員の負担を減らす学校運営を課題として挙げた。

 

写真左がゲダール氏、右がシュライヒャー局長

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBS)

通訳 大野理恵


会見リポート

将来見据え、入試改革や教員の質向上を

 日本の教育は、2020~2022年導入予定の「新学習指導要領」で大きな転換が期待されている。「アクティブ・ラーニング」に代表される「主体的・対話的で深い学び」が求められる。この「教育改革」を前に、経済協力開発機構(OECD)が、日本の教育施策に関するレビューをまとめた。教育・スキル局長であるアンドレアス・シュライヒャー氏の発表は、日本の教育システムを評価しながら、適切な入試改革や教員の質を高める支出の重要性など「将来を見据えた施策」を提案する示唆に富むものだった。

 シュライヒャー氏は冒頭、ITと現実が融合し、ネット情報の正誤を判断する能力が求められ、かつ利用者好みの情報を選別するIT技術の進歩で逆に多様な考えに触れる機会が減少している現代は、「教育が新たな役割を持つ」と語った。

 続いて、今回のレビューのポイントを解説。日本の子どもの問題解決能力は高いが、疑問を呈す批判的な考え方や忍耐力などは低く「こうしたギャップを解消することが新指導要領に求められる」と話した。教育費への公費の支出割合について、「高等教育における家庭の負担が日本ほど大きい国はない」と強調。英国の融資制度などを例に挙げ「公的予算に限りはあるが、日本にもとることができる手段がある」と分析した。また、教員の負担について、「授業時間は各国平均より短いが、他の業務が多く、労働時間は平均より大幅に長い」とのデータを示した。生涯学習の風土が日本では浸透していない点にも触れ、「成人にも学習の機会を提供し続けることが重要だ」と述べた。

 まとめで、「指導要領が新しくなっても、教える内容と試験での評価ポイントが一致していなければならない」という指摘が印象的だった。質疑では、今話題の「プロジェクトベース・ラーニング」(課題解決型学習)がテーマに挙がった。シュライヒャー氏は、これを日本に定着させるには異なる分野の教員同士の協力などのフレキシビリティが課題だと話した。


毎日教育総合研究所(毎日新聞社)  榊 真理子

ゲスト / Guest

  • アンドレアス・シュライヒャー / Andreas Schleicher

    OECD教育・スキル局長 / Director for the Directorate of Education and Skills, OECD

  • ピエール・ゲダール / Pierre Gouëdard

    OECD教育・スキル局アナリスト / Analyst, Directorate for Education and Skills, OECD

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