2017年03月22日 16:00 〜 17:00 10階Aホール
フェリペ・ハラミージョ コロンビア貿易振興機構総裁

会見メモ

和平合意とノーベル平和賞が大きく報道され、コロンビアのイメージ一新の好機。「長い内戦が終結し、紛争後の時代が始まった。歴史上、最も良い時期だ」。麻薬や暴力のリスクを聞かれ「みなさんの認識とコロンビアの現実の間にはギャップがある」と訴えた。

 

司会 中井良則 日本記者クラブ顧問

通訳 阿由葉恵利子(オルビス)


会見リポート

刺激的な国から甘い誘い

伊藤 千尋 (朝日新聞元中南米特派員)

南米コロンビアは世界に名高い刺激的な色に満ちている。極彩色の蘭や緑のエメラルド、華麗な美女は目を奪う。茶色のコーヒーは脳を覚醒し、白い粉の麻薬コカインは脳をしびれさせる。

 

左翼武装組織「コロンビア革命軍(FARC)」との和平が昨秋に合意した。平和への道を歩み始めたこの国の新たな課題は経済の再建だ。日本との通商や投資、観光の拡大を担って来日した。

 

「何十年もの戦争の時代が終わり素晴らしい時代になった。日本にとってもビジネス・チャンスです」と切り出した。日本はすでにアジア第一の通商相手国だ。経済連携協定(EPA)交渉も進んでいる。南米の玄関口にある国だけに「わが国をハブとして南米に進出することもできる」と売り込む。

 

マクロ経済は安定している。2005年から16年までの経済成長率は4%超を維持してきた。貧困層は2002年の50%から15年は28%に減り、逆に中間層は17%から31%に増えた。国内消費の伸びが期待できる。世界銀行も安全性を評価している。

 

日本にはコーヒーと花の国として知られるが、質の高いカカオやトロピカル・フルーツも自慢だ。ここ6年、コロンビアに投資した日本の企業は40社から80社に倍増した。「今回の来日で回った企業からも信頼感を感じている」と結んだ。

 

笑顔に満ちた説明だが、会場からの反応は辛辣だった。麻薬カルテルは根絶されたのか、誘拐の危険はないかなど、進出に二の足を踏む企業の思いを代弁する質問が相次いだ。総裁は「麻薬の根絶は難しいが、今やわが国は南米としては治安が良い国となった。誘拐の心配はない」と断言した。

 

さらに「治安の改善が観光産業の著しい成長となって顕在化した。昨年、7千人の日本人がコロンビアを訪れた」と語る。米国の大学で学んだ心理学の知識を駆使しつつ「日本から米国やメキシコを経由する飛行機の乗り継ぎも改善した。ぜひ利用を」と、甘い誘いの言葉をかけた。


ゲスト / Guest

  • フェリペ・ハラミージョ / Felipe Jaramillo

    コロンビア / Colombia

    コロンビア貿易振興機構総裁 / President, PROCOLOMBIA

研究テーマ:「新」コロンビア:和平合意後のビジネスチャンスと観光

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