2016年10月20日 11:00 〜 12:00 9階会見場
マイケル・カービー 北朝鮮における人権に関する国連調査委員会元委員長 会見

会見メモ

同委員会は、2014年2月に北朝鮮最高指導部の人権侵害を非難し、その説明責任を求めるため、国際刑事裁判所(ICC)への付託や国連の特別法廷の設置を勧告した。豪最高裁判事の経験もあるカービー氏が、依然として説明責任を果たさない北朝鮮に対して断固とした対応をとるべきと語った。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

変わらぬ拉致問題への関心

国連の「北朝鮮における人権に関する調査委員会」(COI)は、1年間の調査を経て2014年に最終報告書を発表した。その衝撃は今も忘れられない。社会的弱者に対する一方的な弾圧や差別といった「人道への罪」の実例が、約80人の脱北者の実名証言で浮き彫りにされていたからだ。取りまとめの中心が、元委員長のマイケル・カービー氏だった。

 

報告書は、国際刑事裁判所(ICC)などでの、責任者に対する制裁も求めた。国連は現在、専門家委員会が扱いを審議している。

 

国連から委託された任務が終わった今も、報告書のフォローアップや、報告書の内容を広める活動を続けている。

 

この日の会見でカービー氏は、時々400ページの報告書を手に語った。最近北朝鮮が、いくつかの政治犯収容所を閉鎖したことが衛星写真から確認された。「単に収容者を移動させただけだろう。政策的な変化はない」と指摘し、苛酷な人権弾圧が続いているとの認識を示した。

 

また拉致問題については「日本に対する公然たる侮辱」として、解決の重要性を訴えた。会見の後には被害者家族と面会しており、拉致問題への関心は変わっていない。

 

カービー氏によれば、「北朝鮮当局は、人道問題で最高指導者の金正恩氏に影響が及ぶのではないかと心配している」ものの、報告書については「拒否し、関与しようとしない」という。

 

「引き続き北朝鮮が報告書に書かれたことに関する説明責任を果たさないなら、国連総会への北朝鮮の出席を停止することも考慮しなければならない」と、厳しい対応を求めた。

 

最近、北朝鮮が海外に送り出している労働者の問題が、新たな人権問題として浮上している。劣悪な環境で長時間労働させられ、賃金は北朝鮮当局によってピンハネされ、核開発などに使われているとされている。

 

会場からは、この問題についての質問も出た。カービー氏は「報告書を作成する時には十分な情報がなかったが、安保理で考慮すべき問題であり、経済制裁の対象にするべきだ」と提案した。

 

オーストラリアでは連邦最高裁判事を務めただけに、論理的で、断固とした口調が印象的だった。


東京新聞編集委員 五味 洋治

ゲスト / Guest

  • マイケル・カービー / Michael Kirby

    オーストラリア / Australia

    北朝鮮における人権に関する国連調査委員会元委員長 / The former Chairman of the UN Commission of Inquiry on DPRK

前へ 2019年01月 次へ
30
31
1
2
3
4
5
6
7
8
10
11
12
13
14
17
19
20
26
27
28
1
2
ページのTOPへ