会見リポート
2016年04月11日
15:30 〜 16:30
10階ホール
グリア OECD事務総長
会見メモ
OECDのグリア事務総長が会見し、記者の質問に答えた。
司会 実哲也 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)
通訳 池田薫 大野理恵(サイマル・インターナショナル)
会見リポート
「パナマ文書」で税務情報透明化
大水 祐介 (時事通信社外国経済部)
近年、4月の恒例行事となりつつある日本記者クラブでの会見。今年は、タックスヘイブン(租税回避地)の利用をめぐる国家元首らの疑惑を暴露した「パナマ文書」問題が世界を震撼させる中での来日となった。この問題については「衝撃的なニュース」と驚きを隠さない一方、「世界とともに(税務情報の)透明性を確保するという風潮に変わった」と前向きに捉えている。
経済協力開発機構(OECD)は、国境を越えた課税逃れ対策の国際的な枠組みづくりを主導。来年から各国税務当局が金融口座情報を自動的に交換するシステムを導入する予定だ。
会見では、問題の「震源地」となったパナマのサインマロ副大統領から電話があったことを紹介。「このままではパナマは孤立する」と懸念を伝えると、「政府としてOECDと全面協力したい」と応じ、国際的な枠組みに加わりたいとの意向を示したという。
パナマはこれまで、国際的な課税逃れ対策に非協力的だった。グリア氏はこの問題を機に「パナマは透明性を向上し、情報を共有しなければならない」と強調。日本政府については「積極的に対応しており、OECDの努力を支援している」と評価した。
「楽観的でも悲観的でもない。常に積極的だ」――。大きな手振りと大きな声で会場からの質問に真摯に答える同氏の人柄と、パナマ文書問題への揺るぎない姿勢をうかがわせた。
一方、来年4月に予定される日本の消費税率10%への引き上げについては「重要な約束だ。市場もそうするだろうと予想している」と述べ、増税すべきだと指摘。「日本は15%まで上げる余地がある」とも語った。
このほか、日本の人口減少・高齢化問題に関する提言をまとめた「OECD国土・地域政策レビュー」を公表した。
ゲスト / Guest
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アンヘル・グリア / Ángel Gurría
事務総長 / Secretary-General