2016年03月17日 13:30 〜 15:00 9階会見場
胡鞍鋼 清華大学国情研究センター長 「第13次五カ年計画を読む」

会見メモ

3月16日に閉幕した第12期全国人民代表大会第4回会議(全人代)で採択された「第13次5カ年計画」について胡鞍鋼教授が解説し、記者の質問に答えた。
胡鞍鋼著『中国の百年目標を実現する第13次五カ年計画』日本語版サイト
司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)
通訳 徐一睿 専修大学准教授


会見リポート

5カ年計画立案者が語る中国経済の将来像とは

加藤 青延 (NHK解説委員)

中国経済の将来に対する国際マーケットの評価は消極的・悲観的なものがはなはだ多い。実際、中国からは国有企業の過剰生産や、赤字を垂れ流すゾンビ企業の弊害、貿易の低迷と資金流出の加速等々、不安材料ばかりが伝わってくる。だが中国の経済長期計画の立案に長く携わってきた胡鞍鋼氏の発言は、耳を疑うほど楽観的で強気なものだった。

 

胡氏はまず、去年までの第12次5カ年計画について「経済目標値を24掲げたが、このうち23は達成できた」と語り、100点満点で96点をとれたと高く評価した。ちなみに第10次計画は64点、第11次計画は87点とそれより厳しい点数をつけた。

 

今年からの13次5カ年計画については、①貧困の撲滅②環境汚染の防止③イノベーションを3本柱に、先進国の後を追う「キャッチアップ型モデル」から、自ら創造的な役割を果たす「イノベーション型モデル」へとバージョンアップを目指すとした。

 

そして2020年には中国のGDPが計画目標を上回る100兆元(日本円約1700兆円)を超え、世界全体の5分の1を占めるだろうと大胆に予測した。また、その時点では、一世帯当たりの年間可処分所得が9~9.3万元(150~160万円)に達する他、国内の消費総額が60兆元(約1000兆円)を超えると予想し、「それは中国が米国を追い抜き世界最大の消費市場になることを意味する」と胸を張った。

 

はた目には多くの困難を抱えるように見える中国が、果たして本当に胡氏が描くようなバラ色の市場に変わり得るのだろうか。会場の懐疑的な視線を意識してか、胡鞍鋼氏は「2003年に私が打ち出した成長予測は、当時誰にも信じてもらえなかった。だが、実際には私の唱えた通りになりつつあり、将来予測にさらに自信を深めている」と強調した。中国屈指の頭脳が集まる清華大学で、中国の国情研究のリーダーとして研究と分析を積み重ねてきた胡鞍鋼氏の予言がどこまで的中するか、今回の会見記録を5年後にもう一度読み返してみるのも悪くないだろう。


ゲスト / Guest

  • 胡鞍鋼 / Hu Angang

    中国 / China

    清華大学国情研究センター長 / Dean, Institute for Contemporary China Studies, Tsinghua University

研究テーマ:第13次五カ年計画を読む

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