2014年06月13日 15:00 〜 16:00 10階ホール
著者と語る 写真集『キルギスの誘拐結婚』 林典子 フォトジャーナリスト

会見メモ

林典子さんが写真集『キルギスの誘拐結婚』について、取材上のエピソードを交えて話し、質問に答えた。センセーショナルな誘拐結婚そのものよりも、結婚後、女性たちの気持ちがどのように変わっていくかを追い続けたかった。
司会 小栗泉 日本記者クラブ企画委員(日本テレビ)

会見リポート

「誘拐結婚」の現場でも ひるまずシャッターを切る

花井 尊 (東京写真記者協会事務局長)

フォトジャーナリスト・林典子氏と、その写真集『キルギスの誘拐結婚』に触れ、私は二重のショックを受けた。ひとつは21世紀の今日、このような過酷な運命を強いられる女性たちがいるということ。もうひとつは、一見きゃしゃで妙齢の女性である林さんが、誘拐という犯罪現場でもひるまず、シャッターを切り続けたことだ。


人権組織の報告書で「アラ・カチュー(誘拐結婚)」の存在を知り、2012年、現地に飛び込んで約5カ月間滞在。「これはこの国固有の慣習・文化なのか」と取材の立ち位置に悩んだが、「自殺に追い込まれた女性もいる。まず事実を伝えよう」と腹をくくった。「人権侵害の告発」という大上段の構えはない。誘拐された女性たち一人一人の境遇をひたすら丹念に追った。


一見、日常と呼べるような、木漏れ日を思わせる写真もあるが、それがかえって本来の夢を奪われた女性の悲しみの深さを浮き彫りにする。「彼女たちのその後を取材し続けたい」と、このほど発刊された写真集を手に再びキルギスに発つ。私を含め、尻込みしがちないまどきの軟弱男子に、フォトジャーナリストの「覚悟」を知らしめた感じだ。


ゲスト / Guest

  • 林典子 / Noriko Hayashi

    日本 / Japan

    フォトジャーナリスト / Photojournalist

研究テーマ:写真集『キルギスの誘拐結婚』 (6月中旬発売 日経ナショナル ジオグラフィック社)

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