2005年10月26日 00:00 〜 00:00
アントニオ・グテレス 国連難民高等弁務官

会見リポート

広がる「不寛容」への警告
6月に就任後、すぐにウガンダを訪れ、難民キャンプで一夜を過ごしたという。元ポルトガル首相とは思えない行動的で気さくな人である。8月にはスーダン・ダルフール地方を視察。現場を踏まえた熱のこもった訴えには説得力があった。

グテレス氏が強く訴えたのが世界に広がる「不寛容」への警告だ。テロ防止などを口実に、社会にとって異質なもの、特に難民や移民を排斥する風潮が広がり、それを利用するポピュリストの政治家がいる。「安全のため」という弁明もあるが、実際には逆で、不寛容は民族紛争や内戦の引き金になり平和への脅威となる。「難民は決してテロリストではありません。むしろテロの最初の犠牲者なのです。テロリストが難民を装って侵入するなどということは、ありえないのです」。グテレス氏は重ねて、難民保護の重要性を訴えた。

今回の訪日では、日本政府に難民の再定住受け入れを要請したという。UNHCRにとって日本は、米国に次ぐ2番目の資金拠出国として貢献している。

だが一方で、日本の難民受け入れ人数が先進国の中で最低レベルというのもまた事実だ。「地震で被災したパキスタンには何百万人という難民がいる。こうした難民を第3国へ再定住させるのもわれわれの大きな任務。最初は小規模で構わない。日本がわれわれの提案を検討してくれることを期待している」とグテレス氏は語った。

1990─2000年に緒方貞子氏(現国際協力機構理事長)が高等弁務官を務め、この10月からは日本がUNHCR執行委員会の議長に就任した。グテレス氏の期待にこたえ、さらなる貢献ができるかが問われている。


毎日新聞外信部副部長 大木 俊治

ゲスト / Guest

  • アントニオ・グテレス / António Guterres

    国連難民高等弁務官 / UN High Commissioner for Refugees

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