2005年02月25日 00:00 〜 00:00
中村秀一・厚労省老健局長「社会保障改革」2

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会見リポート

介護保険は改革の「先兵」

寺崎 省子 (朝日新聞生活部)

介護保険が2000年に実施されて以来、初の大幅見直しになる法案が国会に提出された。そのとりまとめの責任者だ。25年までは日本の高齢化の「最後の急な上り坂」だ。団塊の世代が大量に引退し、高齢者数は現在の1・5倍の3500万人に急増する。改正の主眼は給付の伸びの抑制に置かれた。

介護予防の強化や特別養護老人ホームなどの施設の食費や居住費の自己負担化は重要な柱だ。認知症や一人になっても住み慣れた地域で暮らせるよう、夜間対応の訪問介護や小規模施設なども創設される。

当日は、新島良夫審議官が制度改正を説明。国会答弁のため1時間遅れで登壇した中村局長は、政府が「06年度内を目途に結論を得る」とした社会保障の一体見直しについて会場から問われ、「今回の介護保険改革が、次の医療保険改革につながる」などと持論を展開した。経済団体などは厚生年金の保険料率は15%が限界だと主張するが「公的年金として破滅する。家計をトータルでみるのなら医療や介護の伸びを抑制すればいい」と考えるからだ。

厚労省は、介護保険を「社会保障のフロントランナー」と呼ぶ。介護サービスの1割の自己負担化は、医療での高齢者の1割負担の「先兵」となった。介護施設の食費などの自己負担化は病院でも導入されるのか。局長は「医療機関での長期入院の人と、介護施設の入所者とのバランスをどうするのかと(矛盾を)突ける」と、今後の戦略を示唆した。

さらに、欧米では、がん患者を中心に自宅で最期を迎える人が増えている例も示し「介護が必要になっても地域で暮らせる介護モデルは医療でも使える」と指摘。「実現すれば医療の無駄な部分を抑制する余地が出てくる」との見通しを示した。

ゲスト / Guest

  • 中村秀一 / Shuichi Nakamura

    厚労省老健局長 / Roken Director of Health, Labor and Welfare Ministry

研究テーマ:社会保障改革

研究会回数:2

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