2021年08月02日 14:00 〜 15:00 オンライン開催
ゴールドマン環境賞受賞 平田仁子・気候ネットワーク理事 会見

会見メモ

環境分野のノーベル賞ともいわれるゴールドマン環境賞を受賞した気候ネットワーク国際ディレクター・理事の平田仁子さんが登壇した。

経済産業省がこのほどまとめたエネルギー基本計画の原案への受け止め、石炭火力発電への対応も含め気候変動問題に対して政府、地域、人々はどのように取り組むべきなのかなどについて話した。

 

司会 元村有希子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

脱炭素、政府の本気度に疑問/独立した政策評価組織が必要

小出 重幸 (読売新聞出身)

 地球環境分野の優れた草の根活動家を表彰する、2021年の「ゴールドマン環境賞」を、日本の女性として初めて受賞した。石炭火力発電所の建設反対運動を進め、二酸化炭素(CO2)の排出の削減に貢献したことが評価された。

 「気候変動問題は、規模が大きく、エネルギーや産業構造問題など複雑で、市民にとっても取り付きにくい分野。地道なNGO活動に国際的な評価が与えられたことで、身近に感じ、活動への参加に関心を持ってもらえることを期待している」と、喜びを率直に語った。

 会見では、①気候変動問題に向き合う日本政府の姿勢への疑問、②現政権のエネルギー基本計画の課題、③日本の石炭火力発電が増えた問題――の3点を指摘した。

 歴代の日本政府が、温暖化問題への世界的な風潮に左右され、明確な政策理念を示してこなかった点を、「自身の問題として本気で考えていないのではないか」と批判。また2030年にCO2排出量の46%抑制を提示した、政府の第6次エネルギー基本計画案について、「ようやく脱炭素への姿勢を明確にした」としながらも、足元のエネルギー転換、経済構造変革には具体的な進展が示されず、実現性に疑問を感じると述べた。

 また、「福島原発事故以後、日本では石炭火力増設が進むが、国際的な廃止の動きに逆行する」として、石炭火力と原子力発電は全廃し、過渡的に「自然再生エネルギー50%、天然ガス火力50%」で支える、という提案を示した。

 全てのエネルギーを脱炭素化し、産業構造を再構築する、その実現へのプロセスを問われると、「課題が多岐にわたり、政府、市民と共に解決策を考えたい」とし、公開性に欠ける政府の意思決定システムを変える方法として、政府から独立した英国の「気候変動委員会」を例に、市民や専門家が参加する独立した政策評価組織を提案した。


ゲスト / Guest

  • 平田仁子 / Kimiko Hirata

    気候ネットワーク 国際ディレクター・理事 / CAN-Japan 代表 / International Director, Kiko Network Representative, CAN-Japan

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