2014年10月21日 15:00 〜 16:30 宴会場(9階)
伊藤隆敏 政策研究大学院大学教授 「130兆円は誰のものか-年金運用改革を問う」③

会見メモ

伊藤氏は、現在のGPIF改革議論の出発点となった「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」で座長を務めた、いわば「火付け役」。テーマである「130兆円は誰のものか」という問いについては「将来世代も含めた受給者のため」とし、「国債運用だけではGPIFは枯渇する、国債偏重からの脱却は世代間対立を和らげるためだ」と意義を説明した。

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

GPIFの運用が世代間対立を和らげる

友野 賀世 (朝日新聞論説委員)

伊藤教授は、公的年金の運用を担う年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に対し、現在の資産配分(ポートフォリオ)を見直して、60%を占める国債の比率を引き下げることや、理事長1人に権限が集中する体制を複数の理事による合議制に改めることを求めた。


伊藤教授は1年前に、有識者会議の座長として公的年金や独立行政法人の運用改善に関する報告書をまとめた。その柱がGPIFの運用改革とガバナンス改革で、この日の会見もその内容に沿ったものとなった。


年金は、高齢化と現役世代の減少により、後の世代ほど金額が減るという厳しい現実がある。伊藤教授は、GPIFが後の世代ほど不利になる状態を和らげる役割、つまり「深刻な世代間対立を和らげる緩衝材」の役割を果たすと主張する。


緩衝材になれるかどうかは、運用の結果次第。世の中の注目を集める新たなポートフォリオは、会見が開かれた10月21日の時点では公表されていない。この会報が刷り上がったときには、明らかになっているだろうか。ガバナンス改革に必要な法改正の作業は、これから本格化する。


ゲスト / Guest

  • 伊藤隆敏 / Takatoshi Ito

    日本 / Japan

    政策研究大学院大学教授 / Professor, National graduate institute for policy studies

研究テーマ:130兆円は誰のものか-年金運用改革を問う

研究会回数:3

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