2014年07月29日 15:00 〜 17:00 10階ホール 
パネルディスカッション 「日米同盟を考える」齋藤隆 第2代統合幕僚長・海将、折木良一 第3代統合幕僚長・陸将、リチャード・マイヤーズ 第15代統合参謀本部議長・空軍大将、マイケル・マレン 第17代統合参謀本部議長・海軍大将

会見メモ

「日米軍人ステーツマン・フォーラム」は、自衛隊と米軍それぞれの元最高幹部による対話促進の枠組で、日本再建イニシアチブと新米国安全保障研究所が創設した。両国の退役軍人間での初の取り組みとなる。第1回会合に参加した下記の4人が、東アジアの戦略環境が変化する中での日米同盟のあり方などについて、それぞれの見解を述べた。
(右から)
齋藤隆 第2代統合幕僚長・海将 Admiral Takashi Saito, 2nd Chief of Staff of the Joint Staff
折木良一 第3代統合幕僚長・陸将 General Ryoichi Oriki, 3rd Chief of Staff of the Joint Staff
リチャード・マイヤーズ 第15代統合参謀本部議長・空軍大将 General Richard B. Myers, 15th Chairman of the Joint Chiefs of Staff
マイケル・マレン 第17代統合参謀本部議長・海軍大将 Admiral Michael Mullen, 17th Chairman of the Joint Chiefs of Staff
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 澄田美都子、西田直子(サイマル・インターナショナル)

会見詳録(文字起こし)英文


会見リポート

元制服組トップが語る「日米同盟」 日本の自助努力と米国の関与

勝股 秀通 (企画委員 読売新聞調査研究本部主任研究員)

「親父や兄貴に頼る時代は終わった。これからは、息子や弟も自分にできることは自分でやらなければならない」――。それが、日米制服組の最高ポスト(自衛隊統幕長と米統参議長)を経験した4氏から発せられたメッセージだったのだと思う。もちろん、日米同盟で「親父や兄貴」は米国であり、「息子や弟」は日本だ。

 

戦略環境が厳しさを増す中で、日米同盟の重厚な基盤が薄れているのでは、という問題意識に基づき、「日本再建イニシアティブ」(RJIF・船橋洋一理事長)などが、最高ポスト経験者らによる「日米軍人ステーツマン・フォーラム」を創設、その第1回会合の総括として、今回のクラブでのパネルディスカッションが企画された。

 

焦点の1つは、中国とどう向き合うか。現状について、折木氏は「海空軍の近代化は戦略的に行われている。われわれは軍事的に対抗するのではなく、抑止することに重点を置き、日米関係を強固にするなどして、力によって現状変更をもくろむ動きから(日本を)守りたい」と説明。齋藤氏は「中国に対する抑止力をいかに高めていくか。それが、これからの日米同盟にとって重要課題であるという共通の理解が得られた」と報告した。

 

日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直しを含め、集団的自衛権の行使容認など日本の防衛政策について、マイヤーズ氏は「日本は正しい方向に向かっている。『軍事大国になる』などという中国の批判は、戦後69年の日本の歩みを全く見ていない。的はずれだ」と一蹴、マレン氏も「日本を守るための集団的自衛権であり、ガイドラインだ」と言葉をつないだ。

 

その一方で、尖閣諸島に代表される「グレーな事態」について、折木氏は「抑止は日米で考えるが、対処は基本的に日本が考えること」とし、マイヤーズ氏は「中国を封じ込めることはできない。米国はリーダーシップを発揮するが、そもそも世界の警察官ではない」と、中国に対して日米が共同行動することへの期待にくぎを刺した。

 

中国との相互依存関係が深まり、米国は「関与」することによって、地域の安定を図ろうと考えているのだろう。日本は自助努力する一方で、ガイドライン協議などを通じて、同盟を活用する仕組みづくりを急がなければならないと感じた。


ゲスト / Guest

  • 齋藤隆 第2代統合幕僚長・海将、折木良一 第3代統合幕僚長・陸将、リチャード・マイヤーズ 第15代統合参謀本部議長・空軍大将、マイケル・マレン 第17代統合参謀本部議長・海軍大将

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