2024年05月31日 16:30 〜 17:30 10階ホール
総会記念講演会 久保文明・防衛大学校長

会見メモ

久保文明・防衛大学校長が「2024年米大統領選挙と日米関係および世界秩序」と題して講演した。

 

司会 沢井俊光 日本記者クラブ副理事長(共同通信社)


会見リポート

歴史の転換点と衰弱する米国の指導力

飯山 雅史 (読売新聞出身)

 分極化し、混乱するアメリカの内政や大統領選挙、外交への影響を語り、ウクライナや台湾問題を俯瞰し日本外交の在り方までカバーしたきわめて濃密な講演だった。

 久保氏が収集した膨大な世論調査データから見えてくるのは、トランプ前政権時代から急加速して変容するアメリカだ。かつて高学歴で富裕層の支持者を集めていた共和党は低学歴の労働者の政党に変わり、世界への関与に関心を失う孤立主義的な価値観でアメリカ第一主義を抱擁する。トランプ前大統領は共和党理念の一丁目一番地だった「小さな政府」へのこだわりも薄れたうえ、これまで見られなかった、民主的プロセスへの軽視と権威主義的な傾向さえも見えている。

 しかも、世論調査では4年前よりもトランプ時代の評価が高まっており、不法移民の強制送還を強調する彼の主張は、民主党地盤であるヒスパニック系移民の間でも支持が増えているという。合法移民にとって、不法移民は迷惑な存在でもあるのだ。バイデン大統領は人工妊娠中絶問題で女性の支持を期待できるが、ガザ問題では強い批判を受け、しつこいインフレは手ごわい問題だ。

 ウクライナ戦争など、法の支配に基づく世界秩序の危機が進行する中、11月の選挙で生み出されるアメリカはどんな姿になるのか。近年、アメリカ衰退論を好む中国がその実力と意志を過小評価すれば、東アジア情勢もより不安定化するかもしれないという。では、日本はどうすべきか。最後には、「歯を食いしばって頑張るしかない」という悲観論も飛び出した。

 得意のシニカルなウィットを挟み、淡々とした口調での講演だったが、リーダーシップが衰弱する中で歴史の転換点を迎える世界への危機感が伝わってきた。もっとも、揮ごうには、ちゃんと「日本の可能性を信じよう」と結んでもらって救われたところだ。


ゲスト / Guest

  • 久保文明 / Fumiaki KUBO

    防衛大学校長、東京大学名誉教授 / President, National Defense Academy of Japan/professor emeritus, Tokyo University

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