会見リポート
2026年01月27日
11:00 〜 12:00
9階会見場
プラミラ・パッテン紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表 会見
会見メモ
2017年から紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表を務めるプラミラ・パッテン(Pramila Patten)さんが来日の機に会見した。
昨年8月に公表した紛争下の性暴力に関する年次報告書では、2024年は4600件の性的暴力が記録され、前年に比べ25%増加、子どもへの性的暴力も同35%増えた。報告されない被害もあり「データで示されているのは氷山の一角に過ぎない」という。
紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表は、2009年の国連安保理の決議に基づき設立され、16年を迎える。米国のトランプ政権が脱退を決めた国連機関にも含まれるが、具体的にどのような形で実行されるのかは示されていない。
また国際情勢が不安定化する中で、自国の防衛が優先される傾向があり、各国からの支援に影響が出ることも懸念されている。
パッテンさんは「16年の活動実績がある。(性的暴力の)サバイバーの支援を継続させなくてはいけない。後退させるわけにはいかない」と繰り返し述べ、日本をはじめとする各国に支援継続の重要性を訴えた。
司会 井田香奈子 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞社)
通訳 池田薫 サイマル・インターナショナル
会見リポート
紛争下の性暴力、25%増の危機的状況に
宮川 さおり (共同通信社編集委員)
国連事務総長特別代表のプラミラ・パッテン氏は会見で、紛争下の性的暴力が拷問や政治的抑圧の手段として悪用されている深刻な実態を報告した。パッテン氏は、性的暴力が、不処罰を背景に、敵への屈辱や住民の強制排除を目的とした「最も安価で効果的な兵器」として組織的に利用されていると警鐘を鳴らした。
パッテン氏が引用した2024年の報告書によれば、21カ国で4600件以上の事例が記録され、前年比で25%増加。特に18歳未満の子供への被害は35%増という危機的水準だった。標的は主に女性や少女だが、拘禁施設や尋問の場を中心に男性や少年も深刻な被害に遭っている。数はあくまでも氷山の一角だ。
日本政府は2014年以降、1600万米ドルの資金や人材を提供。サバイバーへの医療・心理的ケア、法的支援、生計維持支援に充てられた。それにより、コンゴ民主共和国では「性的暴力特化型の捜査ユニット」が設立され、40人以上の児童への強姦に関与した州議会議員の有罪判決といった、法の支配による具体的な責任追及が実現したという。
パッテン氏は現在、主要ドナーである米国からの資金や連携が不透明で、多くの国が軍事支出拡大のため予算削減を検討するなど、支援枠組みが重大な岐路にあると指摘。その上で「サバイバーのニーズは情勢に関わらず存在し続ける。歩みを止めるわけにはいかない」と強調した。
最後に同氏は、性的暴力を歴史の傍流から「国際秩序のレッドライン」に格上げするための政治的努力と資源の重要性を説き、国際社会に連帯した取り組み求めた。
◇
日本の資金や人材が、対策の要である「加害者を逃さない仕組み」を実質的に支えていたことはこの会見で知った。国連も政府も、国際協力を継続するためにこうした事例を広く納税者に知らせるべきだろう。国際社会に忘れられた紛争が世界各地で続いていることも忘れてはなるまい。
ゲスト / Guest
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プラミラ・パッテン / Pramila Patten
紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表 / Under-Secretary-General and Special Representative of the Secretary-General on Sexual Violence in Conflict
