会見リポート
2024年10月07日
13:30 〜 14:30
10階ホール
朴喆熙・駐日韓国大使 会見
会見メモ
8月9日に着任した朴喆熙・駐日韓国大使が登壇。日韓関係について「安定感と安心感を与えることが自身の使命」と強調。来年、日韓国交正常化から60年の節目を迎えるにあたっては「成熟した関係にしていくことが必要」と述べた。
小渕恵三首相と金大中大統領が署名した1998年の日韓共同宣言にかわる新たな宣言の必要性についての質問には、個人的な見解としながら「原理原則ではない具体的な協力を含めた意見の表明が必要」との考えを示した。
司会 澤田克己 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞社)
会見リポート
新「日韓共同宣言」に意欲
時吉 達也 (産経新聞社外信部)
8月に着任した朴喆熙・駐日韓国大使が、公の場で初となる会見に臨んだ。朴氏は日韓国交正常化60年を来年に控え、新たな「日韓共同宣言」の発出に向けた具体的な構想に言及。両国間の懸案に対する見解はおおむね想定された範囲にとどまったが、世界文化遺産登録が決まった「佐渡島の金山」を巡り日韓合意の履行を強く求める一幕もあった。
朴氏は1998年の当時の小渕恵三首相と金大中大統領による「日韓共同宣言」に代わる、新たな共同宣言作りに意欲を示した。宣言には、戦後100年となる2045年までに「より希望ある日韓関係」を構築する方策や、両国間の出入国手続きの簡素化を含め「関係改善のメリットを肌で感じられるような具体的な事業」を盛り込むことを提言。韓国側で原案作成の動きが一定程度進んでいる状況をうかがわせた。
歴史認識問題の記載を巡る日韓協議の難航が予想されるため、日本側では新宣言に消極的な意見もある。これに対し、朴氏は「最低限」の記載があれば十分であり「特定の言葉にこだわる必要はない」との立場を示し、懸念を払拭するよう促した。
一方、「佐渡島の金山」を巡り朴氏は、日韓協議で実施が決定された、朝鮮半島出身者を含む労働者の追悼式に向けた日本側の日程調整が遅れていると指摘した。韓国メディアでは9月中に実施されるとの報道もあったが実現せず、外交当局に対する韓国野党などの圧力が強まりつつある。朴氏は政務官以上の日本高官が式典に参加して「誠意を見せてほしい」と求めた。
会見終了にあたり、朴氏は「日韓、傷から絆へ」と記した揮毫を披露。尹錫悦政権発足以前の「失われた20年」で、日韓が長らく「互いを傷つけることがあった」と振り返り、「傷を越えて絆を作る」必要性を強調した。朴氏は冒頭発言から質疑まですべて日本語で応じ、韓国を代表する〝日本通〟としての貫録を示した。
ゲスト / Guest
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朴喆熙 / PARK Cheol-Hee
駐日韓国大使 / Ambassador to Japan, Republic of Korea