2023年02月17日 15:30 〜 17:00 10階ホール
著者と語る『自民党の女性認識 「イエ中心主義」の政治指向』安藤優子さん

会見メモ

※YouTubeでの動画公開は3月3日(金)17時00分で終了しました。

 

『自民党の女性認識「イエ中心主義」の政治指向』(明石書店、2022年7月)の著者でニュースキャスターの安藤優子さんが登壇。著書の内容を中心に、女性に対する社会の「認識」がどう形成されてきたのか、誰もがなりたい自分になれる社会になるために、いま何が求められているのかなどについて話した。

 

司会 早川由紀美 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)


会見リポート

イエ中心主義に終止符を

山田 道子 (毎日新聞出身)

 安藤優子さんというと、世界的な有名人にインタビューし、国内外の現場に出向きリポートするジャーナリストの印象が強かった。だから、フェミニズムを打ち出した『自民党の女性認識「イエ中心主義」の政治指向』(明石書店)を昨年出版した時には、少し意外感を抱いた。同著は、40代後半で入学した母校上智大の大学院で書いた博士論文を基にした。

 安藤さんは執筆理由について、女性議員の少なさに疑問を抱いたことに端を発し、「わきまえろ」など社会の女性に対する“理想形”がどのように植え付けられたかを可視化せねばと考えたと語った。

 調べた結果、行きついたのが、自民党の「イエ中心主義」。女性は「家庭長」。「よき母、よき妻、よき娘」としてイエに従属することで福祉予算がかからずにすむとの文書が同党で1970年末作られた。これを基盤とした政策が連綿と続いているというわけだ。

 イエ中心主義は、「名家」「家系」「財界とのつながり」を重んじる。従って、候補者選定のプロセスで女性候補は排除される。「家庭長」の女性は24時間政治にコミットできない。一方、「女性議員のほうが、血縁継承率が高いのもイエ中心主義の表れ」との指摘はなるほどだった。 

 会見を聞き、「意外な感じ」は得心に変わった。安藤さんは最後のほうで「自分の働き方への反省が込められている」と吐露した。大学3年の時にテレビ界に入るも、メインキャスターの男性と同じようにモノ言うと反発された。とった作戦がまず、かわいがってもらう「ペット化」。次は、必要以上に女性性を捨てる「おじさん化」だった。

 反省を踏まえ、「自分らしくあれる働き方をしてほしい」「個が尊重される社会になってほしい」と訴えた。もちろん安藤さんの「個の尊重」は女性だけに向けてではない。LGBTQにもつながっている。


ゲスト / Guest

  • 安藤優子 / Yuko ANDO

研究テーマ:著者と語る『自民党の女性認識 「イエ中心主義」の政治指向』

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