2021年05月21日 15:00 〜 16:00 オンライン開催
熊谷俊人・千葉県知事 会見

会見メモ

4月5日に千葉県知事に就任した熊谷俊人さんが登壇し、新型コロナウイルス感染症対策の現状と課題、今後の県政運営などについて話した。

司会 坪井ゆづる 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

「国の壁」越えられるか

小野 晋史 (産経新聞社千葉総局県政担当)

 630万人が暮らす千葉県の知事に43歳の若さで就任してから1カ月半が経ち、記者会見に臨んだ。就任後は新型コロナウイルスへの対応に忙殺され、会見でも多くの時間をコロナ関連に割いたが、災害対応をはじめとした諸課題に触れるのも忘れなかった。既に政令市である千葉市長を12年近く経験してきただけに、地に足のついた施策を自分の言葉で説明しようとする姿勢や、そつのなさが印象的だった。

 3月の知事選では史上最多となる140万票を獲得し、自民党の推薦候補に100万票以上の大差をつけて圧勝。県内に多大な被害をもたらした令和元年房総半島台風の記憶が残り、新型コロナ禍での閉塞感も漂う中、多くの県民が若手の熊谷氏に県政の刷新を期待した形だ。

 1時間の記者会見で説明に用いたスライドは30㌻を超え、ウイルスの変異株を念頭に置いた県内の感染状況や医療提供体制の整備、ワクチン接種の推進などについて駆け足で紹介。そこには記者会見の前日にモデル事業として公表した、厳しい感染防止基準をクリアした飲食店の認証制度も含まれていた。

 もっとも、このモデル事業では認証を受けた飲食店に対する営業制限の緩和にまで踏み込まず、時期未定の「将来的な」課題と述べるにとどまった。特に、千葉県が適用を受けている蔓延防止等重点措置の対象地域で緩和するには政府の了承が必要と強調。国の壁を乗り越えてでも県政を前に進める実現力の証明には至らず、依然として未知数だ。

 平成21年に熊谷氏が千葉市長となった数カ月後には、総選挙で政権交代が実現したが、旧民主党政権への期待と信頼は急速にしぼんだ。熊谷県政が旧民主党の二の舞とならず、〝長期政権〟につながるかは今後の県政運営にかかっている。この意味で、記者会見で話した抱負やビジョンがどこまで実現するかは刮目に値する。


ゲスト / Guest

  • 熊谷俊人 / Toshihito Kumagai

    千葉県知事 / Governor of Chiba Prefecture

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