2020年10月13日 13:30 〜 14:30 10階ホール
「米大統領選の行方」(7) シリコンバレーから見た大統領選

会見メモ

米ペガサス・テック・ベンチャーズのアニス・ウッザマン代表パートナー兼CEOがオンラインで会見し、シリコンバレーは大統領選やトランプ氏の政策をどう見ているのかなどについて話した。

同社はシリコンバレーに本社を置くベンチャーキャピタルで運用総資産額1600億円。最先端技術をもつスタートアップ企業への投資を世界中で行っている。

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBS)


会見リポート

シリコンバレーの目線は大統領選より「未来の世界」 

大石 信行 (日経C N B C解説副委員長)

「誰に投票するか、まだ決めていない」――。11月の米大統領選まで3週間。シリコンバレーを拠点とするベンチャーキャピタリスト、アニス・ウッザマン氏。前回の大統領選ではクリントン氏に投票しという同氏が、現地から伝えてくる声に少し驚いた。

元々、民主党が強いカリフォルニア。その中でもリベラルでオープンな気風で知られるシリコンバレー。それだけに当然、ウッザマン氏もバイデン氏支持だろうと想定していた。

シリコンバレーがトランプ政権を嫌う理由はいくつもあるはずだ。

同氏が指摘するように、トランプ氏が再選されればソーシャルメディア規制が現実となりうる。シリコンバレーにはソーシャルメディア企業が多数拠点を置く。その一つ、ツイッターは トランプ大統領の新型コロナワクチンに関する投稿などが誤解を招く内容があるとして「要事実確認」の警告を付けた。大統領は反発し、ツイッターへの攻撃を強めた。

さらに、米中対立による制裁措置。トランプ政権は、米国の技術を使う半導体を中国・華為技術(ファーウェイ)に輸出することを禁じた。シリコンバレーは、名前の由来となるほど半導体企業が集積して発展してきた場所。関連企業も含め、影響は大きい。

まだある。シリコンバレーの発展の源泉は、世界中から集まる優秀で多様な人材。しかし、トランプ政権は、中国人など外国人への就労ビザの発給を制限してきた。

しかし、最高裁判事の増員問題など「いろんなものに対してバイデン候補は答えていない」ため、バイデン氏支持に踏み切れないという。

会見を通して感じたのは、今後4年の先行きを決める大統領選より、シリコンバレーはもっと先の世界を見ているということだ。5G(第5世代移動通信システム)の次世代にあたる「6G」、1万2000の衛星で全世界を網羅する次世代インターネット通信網、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が率いるスペースXに代表される民間企業による宇宙開発――など。夢を現実に変えるビジネスが次々と生まれている。

ウッザマン氏は大統領選を目前に控えた雰囲気は「全く同じ」ともいう。4年前といえば、世論調査で劣勢だったトランプ大統領が大方の予想を裏切って勝利した。現在、多くの世論調査が、民主党候補のバイデン前副大統領が、前回のクリントン候補を上回るほどの優勢ぶりを伝えるが、逆転も十分ありうると考えておいた方が良さそうだ。


ゲスト / Guest

  • アニス・ウッザマン / Anis Uzzaman

    米国 / USA

    米ペガサス・テック・ベンチャーズ 代表パートナー兼CEO / General Partner, CEO, Pegasus Tech Ventures

研究テーマ:米大統領選の行方

研究会回数:7

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