2019年06月21日 16:00 〜 17:00 10階ホール
孔鉉佑・駐日中国大使 会見

会見メモ

5月30日に着任した孔鉉佑大使が会見し、新時代の日中関係について語った。

 

司会 粕谷賢之 日本記者クラブ理事(日本テレビ)

孔鉉佑大使略歴(中国大使館ウェブサイト)

 


会見リポート

新時代の関係構築を探る

成沢 健一 (毎日新聞社政治部編集委員)

 着任後初の記者会見に臨んだ孔鉉佑大使は、心なしか硬い表情に見えた。習近平国家主席の訪日を控え、日中関係改善のムードに水を差すわけにいかないとの重圧があるのかと勘繰ってしまうほど、会見の前半は〝安全運転〟に徹し、両国に横たわる懸案にはほとんど触れなかった。

 前半のテーマは、新時代の日中関係、主要20カ国・地域(G20)首脳会議、米中貿易摩擦の3点。最も時間を割いた日中関係については、「戦略的価値がますます明らかになり、新しい時代の要請に合った両国関係の構築を探る条件が整いつつある」と日本側に前向きなメッセージを送った。一方で、米国が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)製品の排除を同盟国に求めている問題を念頭に、「日本政府が自国の利益と中日協力の大局を考え、開放性、透明性、公平性のあるビジネス環境を整えるよう希望する」と注文をつけることも忘れなかった。

 会見が熱を帯びたのは質疑応答に入ってからだ。時に身振り手振りを交え、全ての質問に日本語で答えた。習氏の国賓としての訪日については、「近い将来の実現は可能だと思う。希望としては季節のいい時、例えば桜が満開の時だ」と踏み込んだ。

 日中関係は改善基調にあるものの、日本人の中国に対する見方は厳しいままだ。孔大使もそのことを十分に理解しているのだろう。控室での揮毫「以和為貴」(和を以て貴しと為す)を司会者から会見の最後に紹介されると、「人間関係だけでなく、国家関係においても平和に睦まじく付き合うというのが本来の姿ではないか。しかし、残念ながら現実はそうではなさそうだ」と指摘した。そしてこう言葉を継いだ。「だからこそこういう精神に基づいて、両国の国民レベルで互いに力を入れていこうという誓いを込めて書いた」。この日一番の笑顔で語ると、会場から大きな拍手が送られた。


ゲスト / Guest

  • 孔鉉佑 / Kong Xuanyou

    中国 / China

    駐日中国大使 / Ambassador

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