会見リポート
2018年12月20日
16:30 〜 17:30
9階会見場
アブドゥッラ・シャーヒド・モルディブ外相
会見メモ
モルディブは、今年11月に就任したモルディブ民主党(MDP)のソーリフ大統領が、前政権の親中国路線を見直してインドとの関係を再構築する方針を示し、国際的に注目されている。新政権の発足にともなって自身二度目の外相に就任したアブドゥッラ・シャーヒド氏が会見し、イブラヒム・アミール財務大臣とファイヤーズ・イスマイル経済開発大臣も同席した。
写真左からイスマイル経済開発相、アミール財務相、シャーヒド外相
司会 土生修一 日本記者クラブ専務理事・事務局長
通訳 長井鞠子(サイマル・インターナショナル)
会見リポート
中国依存の脱却鮮明に
日出間 翔平 (共同通信社外信部)
インド洋に浮かぶ島国モルディブでは9月の大統領選で親中派の現職が敗れた。11月に新政権が発足してから1カ月。来日中の外務、財務、経済開発の3閣僚が出席した会見からは、中国の支援でインフラ整備を進め「中国依存」とも言われた前政権の方針を転換していく決意が伝わってきた。
日本記者クラブでは2017年に前政権のアシム外相が会見。中国が提唱する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に触れ、「中国との経済協力は非常に強力」と述べていた。一方、今回の会見では、新政権のシャーヒド外相がインドとの関係を重視する外交姿勢を鮮明にし、政権交代を印象づけた。
米シンクタンク「センター・フォー・グローバル・ディベロッププメント」(CGD)は今年発表した報告書で、中国の援助を受ける国々のうちモルディブを含む8カ国が借金苦で「危機的な状況」と分析した。対外債務の整理を含めた財政政策はモルディブ新政権の重要課題となっている。
アミール財務相は会見で、モルディブの対外債務の6割が中国からだと説明。総額は14億㌦(1500億円超)で、返済期間の延長を中国側と協議しているとし「債務はコントロール可能だ」と強調した。だが、対中債務はさらに多額との指摘もあり、圧縮への道のりは険しそうだ。
ヤミーン前大統領は中国と自由貿易協定(FTA)を結ぶなど関係を深めた。インドは中国のインド洋進出を警戒し、結果としてモルディブとインドの関係は微妙なものになっていた。シャーヒド氏は会見で力強くこう語った。「モルディブがいかにインドを遠ざけようとしても、(両国が)地理的に近い事実は変わらない。インドとは特別な友情の絆がある」
ゲスト / Guest
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アブドゥッラ・シャーヒド / Abdulla Shahid
モルディブ共和国 / Republic of Maldives
外務大臣 / Minister of Foreign Affairs
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イブラヒム・アミール / Ibrahim Ameer
モルディブ共和国 / Minister of Economic Development
財務大臣 / Minister of Finance
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ファイヤーズ・イスマイル / Uz. Fayyaz Ismail
モルディブ共和国 / Minister of Economic Development
経済開発大臣 / Minister of Economic Development