2018年11月27日 15:00 〜 16:00 9階会見場
シュタイナー国連開発計画総裁 会見

会見メモ

司会 土生修一 日本記者クラブ専務理事・事務局長

通訳 大野理恵


会見リポート

日本企業、アフリカ投資を

高岡秀一郎 (時事通信社外経部編集委員)

 「開発が政治的、社会的な対立や緊張をもたらしてしまった」-。国連の中核的な開発支援機関、国連開発計画(UNDP)のシュタイナー総裁は27日、日本記者クラブで行われた会見の冒頭で、過去1世紀の開発の歴史を振り返り、率直に失敗の側面を認めた。

 こうした課題に対応するため、国連総会で2015年に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」について、総裁は日本企業などが関与を強めていると指摘。「将来の開発をめぐる議論で、SDGsが技術革新や政策検討、新たな事業開発に向けて活用されている明確なシグナルが日本にはある」と評価した。

 開発の最前線の一つがアフリカ大陸だろう。しかしシュタイナー総裁は、「日本は世界的な貿易大国だが、日本企業の多くが依然、アフリカになじみがない。特に中小企業にとってはほぼまったく縁遠い」と述べ、日本企業に積極的な関与を促した。

 アフリカの将来的な経済発展について、シュタイナー総裁はアジアなどで見受けられた「輸出主導型の成長モデル」は当てはまらないと分析。一方で、人工知能(AI)や自動化技術が世界的に影響を及ぼすことが見込まれる中、「どのようにアフリカが世界市場で競争力を保つことができるのかが、大きな課題の一つ」と語った。

 アフリカでは、「今後15年で人口が10億人増える」(シュタイナー総裁)見込みという。エネルギー、医療、教育など各分野にわたる膨大な需要を賄っていく「十分な予算を持ち合わせていない」と、総裁は強調。民間投資を促進するための、国内金融市場整備で各国を支援する必要性も訴えた。

 日本が主導し、UNDPも共催する第7回アフリカ開発会議(TICAD)が19年8月、横浜で開催される。「向こう20、30年で、世界で最も速く、最も大きく台頭する」と、総裁も太鼓判を押すアフリカ経済の発展に、日本企業が参入するきっかけとしたいところだ。

 


ゲスト / Guest

  • アヒム・シュタイナー / Achim Steiner

    国連開発計画 / United Nations Development Programme (UNDP)

    総裁 / Administrator

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