会見リポート
2014年05月14日
15:00 〜 16:30
10階ホール
研究会「ウクライナ」石郷岡建 元毎日新聞モスクワ特派員
会見メモ
毎日新聞のモスクワ特派員を長く務めた、ジャーナリストの石郷岡建氏が、ウクライナの歴史、言語・民族・宗教分布図やこれまでの大統領選投票パターンなどのデータを用い、東西対立の背景を説明した。
司会:中井良則 日本記者クラブ専務理事
会見リポート
ウクライナ危機はなぜ起きたのか 歴史的背景から読み解く
藤澤 秀敏 (NHK出身)
学生、特派員としてモスクワ滞在合計17年半のロシア通、自ら「親ロシア主義者と言われている」と断ったうえでの研究会だったが、複雑なウクライナ情勢をデータと歴史的な経緯から読み解く、ジャーナリストとしての客観的な解説だった。
石郷岡氏は、まず「理念、価値観の一致」に基づく統合を目指す欧州側と、「多様な価値観」に基づく統合を目指すロシア側という2つの異なった統合観の間で揺れてきた独立以来のウクライナの全体状況を示した。
そのうえで、今回の対立の発端となったキエフ中心部の広場・マイダンでの反ヤヌコービッチ政権デモは、経済的な不振、生活困難に対する不満が爆発したもので、世界経済危機以来、世界各地で起きている反政府デモ・反乱騒ぎと同じ構造だと指摘。これまでの政権交代と違って、暴力的になったことへの筆者の疑問に答えてくれた。
またウクライナ系、ロシア系とも混じり合って生きているウクライナは「簡単には分裂できない」と指摘。「ウクライナになぜ、ワレサ、ヤルゼルスキが出てこないのか、勝海舟、西郷隆盛のような人物が現れないのか」と救国の政治家の出現を求めた。地域に精通し、深い愛情を持つ石郷岡氏の気持ちがうかがえた。
ゲスト / Guest
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石郷岡建 / Ken Ishigooka
ジャーナリスト(元毎日新聞モスクワ特派員) / Journalist
研究テーマ:ウクライナ
研究会回数:3