2003年12月18日 00:00 〜 00:00
家西悟・前衆議院議員

申し込み締め切り

会見リポート

和解後も続く苦闘

宮田 一雄 (産経新聞編集局次長)

2期7年にわたり衆院議員だった家西氏は、血友病治療用の血液製剤でHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染、一九九六年のHIV訴訟和解当時は大阪の原告団代表でもあった。「米国で広がる奇病」についての記事を毎日新聞夕刊で読み、知人の血友病患者と「いやな予感がする」と話したのは、自らの感染を知る五年も前の1982年のことだったという。

以来20年余り、家西氏は日本のエイズとの闘いを最も早い時期から担ってきた人たちの一人であり、研究会も、血友病患者に感染が拡大したのはなぜか、裁判に至る経過はどのようなものだったのかといったお話から始まった。

ただし、家西氏にとって、そしてHIVに感染した他の血友病患者にとっても、エイズとの闘いは過去の歴史ではなく、裁判の和解によって終わった話でもない。治療法が進歩したいまもなお、日々に直面する重大な課題であり、苦闘の対象であり続けている。

「長く生きることが期待できるようになったいま、HIVに感染した血友病患者が生きる不安を訴えるケースがある」

家西氏はこう語り、事態の困難さと感染者に対する社会の理解の大切さを訴えた。生きる希望と背中合わせの孤独感、社会生活を続けるうえでの困難。実はそれは、感染経路を問わず、日本のHIV感染者にほぼ共通する現実でもある。家西氏はこの点に言及し、感染経路で「いい患者」と「悪い患者」を分けるような考え方を乗り越えてエイズ対策に取り組む必要があることも強調した。

ゲスト / Guest

  • 家西悟 / Satoru Ienishi

    日本 / Japan

    前衆議院議員 / Former Member of the House of Representative

ページのTOPへ