会見リポート
2003年10月08日
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シャーリー・アン・ジャクソン博士「米国の原子力発電」
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会見リポート
米原発の運転管理改革
渡部 行 (個人会員(日本工業新聞出身))
米国は世界最大(103基、出力1億200万キロワット)の原子力発電国だが、79年3月のTMI原発事故以来、新増設は見送られてきた。巨額の設備投資を必要とするだけに、電力自由化時代の企業採算上の問題もあった。
この流れを一気に変えたのが、95年から四年間、NRC(原子力規制委員会)委員長を務めたジャクソン博士である。NRCはTMIと旧ソ連のチェルノブイリ原発の事故は、設備の欠陥でなくヒューマンエラーであり、その後の技術の進歩にあわせ運転管理の規制を改革、緩和すべきだとし、これを実施した。
もちろん安全操業は大前提だが、この結果、原発の操業率は90%まで上昇、経済性も大幅に向上。原発の新増設計画も相次いで発表されている。日本も米国を見習い、運転管理の規制を緩和、関係筋から評価されている。
原子力発電で最大の課題は、高い放射能をもつ使用済み核燃料の処理だ。米政府は最終処分場をネバダ州知事の反対を押し切って同州のユッカマウンテンに建設する。これについてジャクソン女史(現、レンセラー工科大学長)は「これは国がやるべきことです」と明快だ。
スピーチも質疑応答も確信に満ちている。これまでの輝かしい実績に裏打ちされ、説得力がある。ブッシュ政権にも当然、この政策は継承されているが女史の功績は大きい。
ゲスト / Guest
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シャーリー・アン・ジャクソン / Shirley Ann JACKSON
博士 / Doctor
研究テーマ:米国の原子力発電
