2024年12月23日 14:00 〜 15:30 10階ホール
アリ・モハメド駐日スーダン臨時代理大使 会見

会見メモ

スーダンで2023年4月から続くスーダン国軍(SAF)と準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)の武力衝突は、国際社会での関心は低く「忘れられた紛争」ともいわれる。

駐日スーダン臨時代理大使のアリ・モハメドさんが会見に臨み、内戦に至った背景をあらためて説明するとともに、RSFによる殺戮や破壊行為の実態を動画も交え話した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

「忘れられた戦争」に光を

竹田 亮 (時事通信社外信部)

 スーダンで2023年4月から続く正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の戦闘について、同国のアリ駐日臨時代理大使は記者会見で「忘れられた戦争」と表現した。パレスチナ自治区ガザを巡る中東での紛争や、ロシア軍のウクライナ侵攻の影で見落とされがちな自国で続く市民の犠牲に光を当て続けてほしいとの訴えは切実だ。

 アリ氏によると、内戦では少なくとも6万2000人が死亡。約290万人が国を追われ、1000万人以上が国内避難民となった。また、同氏は「RSFが病院、インフラ関連を含む民間施設や住宅地を攻撃している」とも主張した。

 また、「障害者や高齢者の施設も戦闘に巻き込まれ、サービスが提供されなくなったことで死亡した人もいる」とも述べた。会見では、RSFが市民に暴力を振るった「証拠」とされる映像も流れた。

 2年近く続いてきた内戦を一気に戦闘停止に持ち込むのは難しい状況だ。アリ氏は第1段階として、23年5月に正規軍とRSFがサウジアラビアと米国の仲介で結んだ市民保護に関する合意を順守する必要性を強調した。

 スーダンは、内戦開始後に洪水被害にも見舞われた。内戦と併せて「人口のほぼ半分に当たる2480万人が人道支援を必要としている」という。市民の安全が保証され、兵士が占拠している例もあるとされる住居に難民や国内避難民が戻ることができれば、人道状況の改善につながるとの指摘だ。

 一方、アリ氏は、人道支援に必要な資金が大きく不足している現状も明らかにした。「昨年10月時点で、必要額を確保できたのは全体の6割程度にとどまる」と語り、日本のこれまでの支援に謝意を表明した上で、追加拠出を訴えた。また、日本政府に対して「RSFを説得できるプレーヤー」としての役割も求めた。


ゲスト / Guest

  • アリ・モハメド・アーメッド・オスマン・モハメド / Ali Mohamed Ahmed Osman MOHAMED

    駐日スーダン臨時代理大使 / Chargé d'Affaires ad interim, The Republic of the Sudan

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