2023年02月17日 11:00 〜 12:00 10階ホール
チャバ・コロシ国連総会議長 会見

会見メモ

2022年9月に開会した第77回国連総会のチャバ・コロシ(Csaba Kőrösi)議長が会見した。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

安保理改革 年内に進展期待

鈴木 美勝 (専門誌「外交」前編集長)

 ロシアの国家的蛮行、プーチン大統領のウクライナ侵略は明らかに国際法や国連憲章に違反している。にもかかわらず、国連安保理はまひしている。「議長は安保理改革の必要性をどう思うか。(常任理事国)ロシアを排除すべきではないか」―冒頭の所信表明後のコロシ国連総会議長に対する最初の質問は、ストレートなものだった。

 「安保理が平和維持の機能を果していないのは明らかだ」―昨年6月現ポストに就任したコロシ氏は率直に認めて、続けた。「侵略後1年が経過したのに何らの解決もできないでここまで来た」。というのも「拒否権を持つ5大常任理事国の一つが隣国を侵略したからだ」、加えて「常任理事国の構成は、第二次大戦後の状況や心理的ありようが、そのまま(今も)反映している」事情もある。が、世界は変わった。

 「このまま手をこまねいてはいられない」と安保理改革の必要性を強調した。「15年前、この改革のための政府間交渉を始めた。しかし、この間、目に見える成果を挙げていない。昨年9月、国連総会ハイレベルウィークの演説で、67カ国が直ちに大きな改革を要求した。国連の改革を求めて国際社会がこれほど幅広く声を上げたのは初めて。私は、改革交渉を進めるよう大使たちに指示した。今年には目に見える成果が生まれることを期待する」

 コロシ氏はハンガリー動乱の2年後、セルビア国境近く、古代から複数の民族が行き交った南部セゲド市で生まれた。外務省入省時を挟んでロシア、英国、イスラエル、米国で勉学・研究生活を送ってもいる。視野広く多様な視点で現実を見通す複眼力を備えているに違いない。

 ロシア除外論には、「政治的側面は理解する」としながらも、法的側面に触れて「それを可能にするには、国連憲章を変えなければならないが、そういう提案はどの国からも出ていない。質問の趣旨は分かるが、その前に解決策を見出して行かなければならない」と答えた。


ゲスト / Guest

  • チャバ・コロシ / Csaba Kőrösi

    国連総会議長 / President of the 77th session of the United Nations General Assembly

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