2022年10月27日 15:00 〜 16:00 10階ホール
「日本の安全保障を問う」(2) 北側一雄・公明党副代表

会見メモ

国家安全保障戦略など3文書の改定に向けた与党協議が18日に始まった。

公明党側のトップを務める北側一雄副代表が登壇。安全保障環境の変化を踏まえた、防衛のあり方、財源などについて話した。

 

司会 伊藤雅之 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

「対中国」が最大の課題

梅崎 勇介 (時事通信社政治部)

 「日本にとって最大の課題は中国との向き合い方だ」。公明党きっての安全保障政策通である北側一雄副代表は会見でこう断言した。中国共産党の習近平総書記(国家主席)は10月の党大会で側近を重用する新体制を発表し、台湾の武力統一も辞さない考えを示した。伝統的に中国との関係が深い公明党であっても、習氏のむき出しの意欲には警戒感を隠せないようだ。

 この数十年間の台湾海峡をめぐる力の均衡は「米中関係の最大の成功例」とも称されたが、今やその姿は見る影もない。中国は経済成長を背景に軍拡を進め、米国は相対的な国力低下を背景に台湾周辺での軍事的プレゼンスを低下させる。台湾有事の可能性は現実味を増すばかりだ。

 北側氏は、台湾有事は中台のみならず日本や世界経済にも甚大な影響があると指摘。継戦能力やサイバー防衛体制を強化して抑止力を高めることと合わせ、不測の事態を回避するため外交的なアプローチで信頼醸成に取り組むことも求めた。

 年末の安保戦略改定に向けた与党協議で焦点となる反撃能力については、「迎撃だけでわが国を防衛することができないのではないか」と保有に理解を示した。他方、その対象は北朝鮮で、「中国本土にミサイルを発射するような想定は現時点ではしていない」と強調した。ただ、実際には政府内では対中国の文脈でも検討されている。

 公明党は伝統的に「親中」として知られる。1964年の結党時から関係強化を訴え、72年の日中国交正常化の際には、田中角栄首相の訪中に先立ち党や支持母体の創価学会がパイプ役を務めた。

 公明党にとって、覇権主義的な動きを強める中国の姿勢は悩みの種だろう。北側氏は会見の終わりに「平和」と揮毫した色紙を披露し、「武力紛争が起こらないようにするのが何より一番大事なことだ」と訴えた。


ゲスト / Guest

  • 北側一雄 / Kazuo KITAGAWA

    公明党副代表

研究テーマ:日本の安全保障を問う

研究会回数:2

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