会見リポート
2022年11月17日
14:00 〜 15:30
9階会見場
「かかりつけ医を考える」(2) 鈴木邦彦・日本医師会医療政策会議かかりつけ医ワーキンググループ 座長、茨城県医師会会長
会見メモ
日本医師会でかかりつけ医についての検討を行うワーキンググループ(WG)の座長を務める鈴木邦彦・茨城県医師会会長が登壇。日本の医療体制、海外のかかりつけ医の状況などを解説するとともに、私見なども交えながら、地域包括ケアシステムの構築、地域医療構想の実現、かかりつけ医機能の充実・強化の三位一体で改革を進める必要性などについて語った。
司会 猪熊律子 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)
会見リポート
超高齢社会 日本型かかりつけ医機能強化を
浜田 陽太郎 (朝日新聞くらし報道部記者)
「かかりつけ医」を切り口に日本の医療体制を問う企画の第2回目のゲストは、鈴木邦彦氏。日本医師会で医療政策会議かかりつけ医ワーキンググループ座長として議論をリードしている。
鈴木氏は、2008年から12年にわたり、ドイツ、フランス、英国を3回ずつ訪問し、家庭医制度を研究してきた。その経験から、「国ごとに課題を抱えており、医療制度に理想的なものはない」と強調した。ジャーナリストが陥りがちな、外国の良い面だけ見て称賛する「出羽守」的な発信への警鐘と受け止めるべきだろう。
フランスは、「自由開業医制」を守った結果、医師の地域偏在が起きて「500万人の家庭医難民」が発生、家庭医への登録制をとる英国では、無料で医療を受けられるが長い待ち時間があるなどアクセス制限が厳しい、といった状況を紹介。ドイツでは「フリーアクセス」を維持する一方、「自由開業医制」と「自由標榜制」を制限していることに注意喚起した。
日本では現在、診療所であれば開業する場所に制限はなく、またどの診療科を名乗るのかも自由に決められる。鈴木氏は、超高齢社会に対応する「かかりつけ医機能」を充実強化するため、将来的にどれを優先するかを考えるべきだとした。
鈴木氏の私案による「かかりつけ医機能」担い手は、地域密着型中小病院、在宅療養支援診療所、グループプラクティス診療所、ソロプラクティス診療所グループだ。「地域包括ケア」の担い手と重なるこれらの医療機関についてはフリーアクセスを維持する一方、大病院については紹介受診を徹底するという。
鈴木氏は、茨城県の著名な医療・介護複合体「志村フロイデグループ」のトップとして、常陸大宮市を拠点に「病院を中心としたまちづくり」に取り組んでいる。会見の後半では、カフェ運営など幅広い地域活動の紹介もあった。
ゲスト / Guest
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鈴木邦彦 / Kunihiko SUZUKI
日本医師会医療政策会議かかりつけ医ワーキンググループ 座長、茨城県医師会会長
研究テーマ:かかりつけ医を考える
研究会回数:2