2020年07月10日 15:00 〜 16:00 10階ホール
ローラン・ピック駐日フランス大使 会見

会見メモ

ローラン・ピック駐日フランス大使が登壇し、「世界的健康危機に対する日仏パートナーシップの務め」と題し、フランスにおける新型コロナウイルス感染症の現状や、日仏・日欧の人的往来、経済への影響などについて話した。

司会 鶴原徹也 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

通訳 三宅薫子(フランス大使館)

 


会見リポート

復興基金創設の必要性を強調

市川 文隆 (時事通信社解説委員)

コロナ禍に欧州は無力なのか。今年2、3月この未曾有のパンデミックが欧州を襲った際に欧州連合(EU)の対応の遅れが報じられた。今回の創設以来ともいえる試練にさらされたEUの求心力回復は、残りの任期が2年を切ったマクロン大統領の最大課題の一つでもある。

 ローラン・ピック駐日フランス大使が会見で強調したのは、仏独両国のイニシアチブで目指す欧州復興基金の創設だ。新型コロナウイルスのまん延により被害を受けた主に南欧の国を救済するための7500億ユーロという巨額の資金調達計画には、オランダ、スウェーデンなどの一部加盟国が慎重だが、「この危機を乗り越えるため困難に直面している分野・地域に振り分けていく」と強く必要性を訴えた。

 EUは、ギリシャをはじめとする金融危機やアフリカなどから欧州を目指す難民による危機があり、離脱した英国との交渉は年内の結論を迫られている。大使は、「欧州の意思決定はいつも『遅い』『不十分だ』と批判されてきた。しかし、これまでも難題を解決することにより危機を乗り越えてきた」と語る。

 今回のパンデミックでEUの対応の遅れが目立つ一方、中国の「マスク外交」には欧州でも反発が生じている。大使は、医療品などを巡るサプライチェーンの多様化について、「一つの供給元に頼り過ぎた」とし、日本政府が中国への過度の依存を改めるための財政措置を評価する。加えて今回のコロナ危機への世界保健機関(WHO)の対応について、「十分に統率が取れたとは言えない。改革をするべきだ」としつつ、組織改革や治療薬・ワクチン開発のために日仏両国の協力の必要性を強調した。

 また、大使は、新型コロナウイルス対策として日仏共同研究への寄付として、フランスのパスツール研究所と日本の京都大学の共同研究に対し、1000万円を目標とする資金をクラウドファンディングで調達する考えを示した。

 


ゲスト / Guest

  • ローラン・ピック / Laurent Pic

    フランス / France

    駐日フランス大使 / French Ambassador to Japan

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