2020年05月27日 13:30 〜 14:30 オンライン開催
「新型コロナウイルス」(23) 神津里季生・連合会長

会見メモ

休業補償、解雇、内定取り消しなど、新型コロナウイルス感染症拡大に関連した労働相談が連合に寄せられている。また感染拡大が長期化する中で、雇用の維持だけでなく生活インフラを支える労働者の安全確保も課題となっている。

連合の神津里季生会長が会見し、コロナ禍を受けた雇用の現状や必要となる施策について話した。

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)

 

投影資料

連合(日本労働組合総連合会)ウェブサイト

連合本部「新型コロナウイルスに関する緊急集中労働相談」集計結果報告


会見リポート

収束後の雇用流動策に期待

赤穂 啓子 (日刊工業新聞社論説副委員長)

 新型コロナウイルス感染症で休業を余儀なくされた企業で働く労働者を中心に、解雇や雇い止めが急増している。連合への電話相談は例年の倍近くで、相談内容も「社員全員解雇になった。退職金もない」(宿泊業)や「内定取り消しにあった」(新卒、観光旅行業)など、切実な雇用問題が多くなっている。

 神津会長はこの状況ついて「過去20年間に契約社員や派遣労働など、非正規労働者が2割から4割に増加した雇用の歪みがコロナ禍であぶり出された」と指摘する。確かに非正規労働を「多様な働き方」として肯定的に捉える風潮もあったが、足元の状況は低所得で不安定な雇用を助長している。

 神津会長は短期的な対策として「追加の給付が必要」と言う。政府の新型コロナに関する諮問委員会委員の小林慶一郎東京財団政策研究所研究主幹の「個人に毎月10万円を給付」という案を引き合いに、6カ月間払い続けるといった踏み込んだ政策を求める。同時に、給付のオンライン申請での混乱について「マイナンバーが活用されていない。しっかりした仕組みを作るべきだ」と指摘した。

 雇用のセーフティーネットにも触れ「失業しても失業給付と、教育訓練をして再就職のマッチングまで面倒をみる仕組みが必要」と主張した。北欧では、労働者が安心して転職できる環境整備として、こうした仕組みが導入されているという。

 コロナ禍での雇用対策は、雇用調整助成金の拡充など、とにかく解雇させないという政策がとられている。しかし、アフターコロナを考えると、体力の落ちた企業に人を縛り付けるのは得策ではない。神津会長が言う雇用の安全網で、スキルアップ型の転職が実現すれば、成長企業の人材獲得と労働者の所得拡大が両立する可能性もある。大きく傷ついた雇用環境がより良いものへ変わるきっかけとして、政労使で議論を進めてもらいたい。


ゲスト / Guest

  • 神津里季生 / Rikio Kozu

    日本 / Japan

    日本労働組合総連合会(連合)会長 / President, RENGO(Japanese Trade Union Confederation)

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:23

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