2019年05月30日 13:30 〜 15:00 9階会見場
「体罰禁止 法制化と社会啓発~スウェーデンの経験から」

会見メモ

スウェーデンは1979年に世界で最初に体罰を法で禁じた。しかし「法律だけでは虐待はなくせない」として、政府は、子供に怒りをぶつけない対話重視のしつけを呼びかけるキャンペーンなどを実施、1960年代には90%いた体罰経験者は2%まで激減したという。

 

司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

「体罰禁止法の狙いは親、社会の態度を変えること」

三木 陽介 (毎日新聞社社会部)

 スウェーデンでは1979年に世界で初めて体罰を禁止する法律が作られた。ダリーン氏によると、法律ができた背景には当時、複数の痛ましい体罰事件が起きたこと、そして「親とはどうあるべきか」という議論が国内でわき起こったことがある。

 しかし、法律ができた当時、多くの国民は賛同しておらず、法律の存在もほとんど浸透していなかったという。それでも2年後には9割が法律の存在を認知するようになった。

 それには国を挙げての啓発キャンペーンが奏功したという。インターネットもない時代に、どうやって普及させることができたのか。ダリーン氏はその一例として、多くの家庭が購入する牛乳パックの裏に体罰禁止を呼びかける広告を載せたことを挙げ、「朝食のとき、家族の中で質問し合うようになった」と説明した。市民団体やメディアの役割も大きかったと述べ、「ずっと継続していくことが大切」と訴えた。

 法律の効果は顕著に表れている。1970年代、体罰をした人の割合は50%、体罰に肯定的な人の割合は35%だったのが、年々減り、2018年には、体罰をした人は2%、肯定的な人は1%と大幅に改善されている。その理由として「今の親世代は、体罰を容認しない環境の中で育ってきたので規範が変わってきた」とプラスの連鎖が働いているとの考えを示した。

 それでも体罰はなくなってはいない。体罰に関する警察への通報は年間約1万1000件。このうち有罪になるケースは14%にとどまり、この割合は「ずっと変わっていない」という。だが、ダリーン氏は「この法律は親を刑務所に入れるのが目的ではなく、親、社会の態度を変えるのが狙いだった」と述べ、法律の意義と成果を強調した。

 さらに体罰は、それを受けた子どもの人生に深刻な影響を与える危険性を指摘し、エビデンス(証拠)に基づく研究が重要だと訴えた。


ゲスト / Guest

  • エリサベット・ダリーン / Elisabeth Dahlin

    スウェーデン / Sweden

    児童オンブズマン / ombudsman for children

  • 森保道 / Yasumichi Mori

    日本 / Japan

    弁護士 / attorney at law

研究テーマ:体罰禁止 法制化と社会啓発~スウェーデンの経験から

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