2019年06月11日 16:00 〜 17:00 9階会見場
「フィンランドの高齢者ケアとラヒホイタヤ」テーリカンガス里佳氏

会見メモ

子どもや高齢者、障がい者などをケアすることのできる「ラヒホイタヤ」の資格を持ち、4年前から訪問介護を行うテーリカンガス里佳さんが、フィンランドの社会保障制度やラヒホイタヤの仕組みについて話した。

 

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)

 


会見リポート

宗教観が支える介護

鈴木 穣 (北欧取材団員 東京新聞論説委員)

 日本記者クラブは昨年6月、北欧に取材団を派遣した。フィンランドでは、訪問介護分野で活躍するテーリカンガス里佳さんの活動現場を訪れた。一時帰国を機に改めて現状を語ってもらった。

 ラヒホイタヤは、日本でいう保育や介護、看護などの知識と技能を横断的に持つフィンランドの独特な資格だ。子どもから高齢者、障害者まで人生のあらゆる場面でその人に寄り添ってケアをする国家資格である。

 里佳さんは毎日、多くの高齢者宅を訪問し食事の支度から服薬管理、必要なら皮下注射も行う。日本では縦割りの資格に合わせケアも縦割りになりがちだが、シームレスなケアが特徴の資格制度といえる。

 働く側にも高齢者が多い地域なら高齢者施設で、子育て世帯が多い地域なら保育所でと、就労先を変われるメリットがある。日本でも人材確保策として同様の資格創設が議論となったことがあるが、進んでいない。今後の人材不足や高齢化を考えると一考に値すると改めて感じた。

 興味深かったのは介護に対する徹底した個人主義や合理性である。

 個人として尊重し本人の決定を大切にする。たとえ認知症であってもまず本人の意見を聞く。高齢者本人が必要と感じたことを優先する。一方で「意味のない長生きは人生の目的ではない」と考え、延命だけの胃ろうなどはしないとの説明に驚いた。

 そのさらに背後にある精神についての話も印象的だった。

 「厳しい自然とキリスト教の精神が根底にあり、困っている人を無視しない。日本では何かできて役に立つことで認められるが、フィンランドは存在するだけでいいと考える」と説明した。

 社会保障制度にはその国の文化や国民性などが反映される。「神に生かされていることに意義がある」との考え方を通して制度を見ると大きく合点がいった会見であった。


ゲスト / Guest

  • テーリカンガス里佳 / Rika Teerikangas

    ラヒホイタヤ

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