2019年01月31日 14:00 〜 15:30 9階会見場
「朝鮮半島の今を知る」(20) 木宮正史・東京大学大学院教授

会見メモ

司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)

 

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『朝鮮半島 危機から対話へ--変動する東アジアの地政図』


会見リポート

陰謀論超えた日韓関係を

五味 洋治 (東京新聞論説委員)

 「相手の国は、自分たちにとっては小さい存在だ」。そう思い込む一方で、自分たちは相手の国にとっては「重要な国だ」と過大評価する。

 今の日本と韓国の関係について木宮さんが使ったこの表現に、思わずうなずいてしまった。

 昨年暮れから続く元徴用工判決、レーダー照射問題などで、日韓関係はすっかり袋小路に入り込んでいる。批判し合いながら、時には相手を無視するのは、こういう「軽視された」ことへの驚きや、怒り、不満の感情が絡んでいるのだろう。

 それだけなら、「思い違い」で終わるが、そこにメディアも加わって、推測を加えて膨らますと面倒なことになる。

 それを木宮さんは、「陰謀論で日韓関係を解釈する傾向が強くなっている」として、危機感を示した。

 陰謀論というのは、先入観、決めつけと言い換えてもいいだろう。

 韓国では、「安倍政権が支持率を少しでも上げようと、韓国に強く出ている」と新聞も盛んに伝えている。

 逆に日本では、北朝鮮との関係改善に前のめりになる文在寅大統領が、日本を「仮想敵国」とし、一戦交えようとしているなどと報道されている。

 陰謀論はいつのまにか、事実として定着し独り歩きしていくが、「その陰謀が、効果のあるものなのか考えてほしい。大切なのは、自分たちの利益を実現するために、どんな選択を行うのがいいか判断することだ」と、木宮さんは強調した。

 分かりやすい陰謀論をうのみにして、相手を理解した気持ちになっていたら、自分たちの目標を見失ってしまうという指摘だろう。

 2月末には、2回目の米朝首脳会談が予定されている。木宮さんは、この会談で非核化の具体的行動に踏み出せなければ、「昨年実現した(緊張緩和)状況を維持するのは難しくなる」と予測した。

 まさに日韓が陰謀論ではなく、自らの利益を考えて動くべき時だ。


ゲスト / Guest

  • 木宮正史 / Tadashi Kimiya

    日本 / Japan

    東京大学大学院教授 / Professor, graduate school, Tokyo University

研究テーマ:朝鮮半島の今を知る

研究会回数:20

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