2018年05月31日 13:00 〜 14:30 9階会見場
「核合意離脱 米・イラン関係の行方」高橋和夫・放送大学名誉教授/田中浩一郎・慶應義塾大学教授

会見メモ

核合意離脱 米・イラン関係の行方

国際政治学者の高橋さんは、オバマ政権とトランプ政権の対イラン認識を比較し、今後の展開を予測した。

田中慶大教授は、イランのハーメネイ最高指導者の見方や米国の核合意離脱の地域情勢への影響について説明した。

 

司会 出川展恒日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

イラン核開発はサイバー攻撃で阻止?

「イラン核合意離脱」をトランプ米大統領が発表した。今後イランの核開発は進むのか? アメリカは、北朝鮮と同様に軍事力を使った示威行動でイランに核開発放棄を求めるのか? こうした疑問に高橋和夫放送大学名誉教授と田中浩一郎慶應義塾大学教授が答えた。

まず高橋教授は核合意を結んだオバマ政権が「イランに理解のある不思議な政権だ」と指摘した。新たな戦争を始めないという政策を進めたオバマ政権だが、オバマ大統領誕生の功労者ヴァレリー・ジャレット補佐官はイラン生まれ、ケリー国務長官の娘婿もイラン移民2世であることなども核合意に影響したかもしれないという。一方でトランプ大統領は、イスラエル・サウジアラビアと中東の枢軸を形成し、宗教国家でありイスラム原理主義勢力支援国家でもあるイランの核開発放棄と体制変革を狙う。

これに対するイランだが、田中教授は「イランには現時点でほとんど打つ手はないようにみえ、強硬派さえ反発を抑制気味だ。核開発を進めるといってもまだまだ次の段階まで時間がかかるだろう」という。EUと英仏独3国は離脱しないと言っているが、現在イランでビジネスを再開しようとしている欧州企業もアメリカの制裁が金融を含めた広範囲に及ぶので、ビジネス拡大は難しいだろうという。イランの経済的苦境は続きそうだ。また今後の展開として「最悪シナリオ」の場合、大規模サイバー攻撃合戦も考えられる、と高橋教授は指摘する。実は2010年アメリカがイランの核施設に、それへの報復としてイランがアメリカの銀行等にサイバー攻撃を行った可能性が指摘されている。アメリカはさらに都市全体に及ぶ大規模サイバー攻撃が可能としており、今後のイランの行動次第では予断を許さない。

高橋教授によれば、「アメリカ第一主義」は第二次大戦前にもあり、アメリカをヨーロッパの戦争に参戦させない運動として広くアメリカ国民の支持を得ていたという。その運動は日本の真珠湾攻撃で吹っ飛んでしまったが、トランプ大統領のアメリカ・ファーストも、心の中では同様に戦争そのものを限りなく抑制しようとするものであることを願いたいものだ。


山陽放送出身  原田 健男

ゲスト / Guest

  • 高橋和夫 / Kazuo Takahashi

    放送大学名誉教授 / Professor Emeritus, Open University of Japan

  • 田中浩一郎 / Koichiro Tanaka

    慶應義塾大学教授 / Professor, Keio University

研究テーマ:核合意離脱 米・イラン関係の行方

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