会見リポート
2018年06月06日
15:00 〜 16:00
10階ホール
「チェンジ・メーカーズに聞く」(24)木南陽介・レノバ代表取締役社長CEO
会見メモ
再生可能エネルギーの発電所開発から運営までを自社で行う。「欧州は大規模化で競争力をつけた。日本は出遅れたが、これから大きな変革を迎える」と期待感を示した。「方向感のある政策目標を」と、政府が電源構成における再エネ比率のアップを強く打ち出すことを求めた。
司会 安井孝之 日本記者クラブ企画委員
会見リポート
日本の再エネ市場の潜在力
安藤淳 (日本経済新聞社編集委員)
レノバは全国で再生可能エネルギーの開発を専門に手掛ける珍しい会社だ。「地域との共生」を大切にしながら、太陽光、風力、バイオマス、地熱の4つを扱う。
温暖化防止のための「パリ協定」などが推進力となり、世界の再エネ拡大機運は高まっている。ところが、木南社長が指摘するように、日本の再エネの発電出力は欧米などに比べて極めて小さい。再エネ開発会社で東証1部上場を果たしたのがレノバのみの現状は「さみしい」と言う。
それでも、2011年の東日本大震災で原子力発電が止まって以降、再エネへのシフトという「変化は起きている」と感じている。経済産業省がまとめた新しい「エネルギー基本計画」案では、30年時点の電源構成で再エネを22~24%とする現行目標を据え置いたが、「30%弱までは増やせる」と述べ、より高い目標へ向けた政策誘導が必要だと強調した。
日本の再エネ普及がなかなか進まない最大の理由は、発電コストの高さだろう。太陽光は、欧州などで場所によっては1㌔㍗時あたり3~4円なのに、日本は20円程度と高止まりしている。工事費や許認可プロセスがコスト押し上げ要因となっており、現場が工事に慣れ人材も育てば下がっていくと楽観視している。
レノバが地域で発電した電力は、電力会社の送電網でユーザーに届ける。ところが容量に「空き」がなく、送電計画にかなりの遅れが出ている。解決策として、送電線を効率的に利用し、電気の受け入れ量を増やす「コネクト・アンド・マネージ」の手法に期待をにじませた。
再エネ事業は初期投資が大きく、経営破綻の例もある。しかし、制度をよく見極めたうえで事業戦略を立てれば、そうした事態は避けられると自信をみせる。クールな受け答えのなかにも再エネに賭ける秘めた闘志が垣間見え、裏付けとなる科学的な分析や冷静な計算は説得力がある。
ゲスト / Guest
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木南陽介 / Yosuke Kiminami
(株)レノバ代表取締役社長CEO / Founding CEO, RENOVA, Inc.
研究テーマ:チェンジ・メーカーズに聞く
研究会回数:24