2015年02月16日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「戦後70年 語る・問う」 濱口桂一郎 労働政策研究・研修機構主席統括研究員

会見メモ

労働政策に詳しい濱口桂一郎さんが、「戦後70年 雇用問題の変遷、いま何が問われているか」をテーマに話し、記者の質問に答えた。
司会 水野 裕司 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)
労働政策研究・研修機構HP


会見リポート

「正社員」の原点たどり、雇用のいま考える

堀口 元 (朝日新聞経済部)

会社に言われればどんな職務もこなし、全国どこへでも異動する。そんな日本独特の「正社員」は、戦時体制下の「勤労は国家への奉仕、給与は家族を含めた生活給」という産業報国の思想が原点だという。職務や労働時間、働く場所が「無限定」の雇用契約ゆえに長時間労働を生む一方、右肩上がりの年功賃金や簡単に解雇できない制度をもたらした、と指摘する。

 

こうした日本型雇用は日本の競争力の源泉でもあったが、バブル経済崩壊後は一転、否定される存在になった。企業は正社員を絞り込み、あふれた若者は非正社員に。無限定な働き方を求めながら長期的な報酬は免れようとする「ブラック企業」の横行につながっていく。

 

昨今の「正社員は高待遇」「終身雇用はやめるべきだ」といった主張は「無限定だが一生の面倒は見ない、というのはバランスを欠いた議論だ」と批判。根本にある「無限定性」を踏まえ、企業と働き手の損得が釣り合う議論が必要と説く。

 

雇用問題を歴史的にとらえるというと、労使の歴史に偏りがち。だが、正社員を軸にした歴史論は、限定正社員や「残業代ゼロ」制度の是非を一歩引いて考えるうえで、いいヒントになった。


ゲスト / Guest

  • 濱口桂一郎 / Keiichiro Hamaguchi

    日本 / Japan

    労働政策研究・研修機構主席統括研究員 / Research Director Department of Industrial Relations, The Japan Institute for Labour Policy and Training (JILPT)

研究テーマ:戦後70年 語る・問う

研究会回数:12

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