会見リポート
2013年03月15日
15:00 〜 16:30
10階ホール
エリゼ条約50周年記念 記者会見
会見メモ
会見リポート
独仏和解から50年 「歴史の転換」目撃した体験談
大木 俊治 (毎日新聞論説委員)
昨年は尖閣問題はじめ日本と近隣諸国との領土問題が大きな関心を集めた。そんな折、ベルリンとパリの特派員から「来年はドイツとフランスの友好条約(エリゼ条約)締結から50年なので企画をやりたい」と思いがけない提案があり、毎日新聞は今年の元旦付け紙面から6回の企画「領土と主権 第1部 独仏和解の現場から」を連載した。「第1部」と銘打ったものの、第2部以降はまだ何も決まっていなかったが。
担当デスクとしてこの企画にかかわった縁で、シュタンツェル独大使、マセ仏大使の話は興味深かった。日本と中国、韓国も独仏和解の歴史に学ぶべきだ、というのは簡単だが、単純な比較は難しい。シュタンツェル大使が言うように、現在の独仏は民主主義という同じ価値観と政治システムを共有しており、体制の異なる日中とは大きな違いだ。一方で、マセ大使が「日中間には経済的な相互依存関係がある」と指摘したように、新たなプラス要因も勘案して考えていくべきなのだろう。
シュタンツェル大使は「欧州にはかつてローマ帝国の統治による平和の時代があったが、その後は1500年以上、戦争の大陸だった」と指摘し、長い歴史の「バックグラウンド」を理解する必要があると説明した。14歳のとき、訪独した当時のドゴール仏大統領の演説をラジオで聴いて感情の高まりを覚えたこと、その4カ月後にエリゼ条約が締結され、さらにその2年後、両親に内緒でヒッチハイクで「あこがれの」パリへ旅行し、多くのフランス人との交流で「独仏和解」を実感したことなど、「歴史の転換点」の目撃者としての体験談には説得力があった。
ゲスト / Guest
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フォルカー・シュタンツェル駐日ドイツ大使、クリスチャン・マセ駐日フランス大使