2012年12月21日 15:00 〜 16:15 10階ホール
研究会「新型インフルエンザ等対策特措法」

会見メモ

2012年5月に公布された新型インフルエンザ等対策特措法の内容や問題点について、喜田宏・北海道大学教授が「ウイルス学から見た“新型”インフルエンザ」、渡辺彰・東北大学教授は「歴史から学ぶ“新型”インフルエンザ」のテーマで話した。

司会 日本記者クラブ企画委員 宮田一雄(産経新聞)

日本感染症学会のホームページ

http://www.kansensho.or.jp/


会見リポート

新型インフル特措法 必要性、有効性に多くの疑問

宮田 一雄 (企画委員 産経新聞特別記者)

高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1由来のパンデミック(世界的大流行)に備える新型インフルエンザ等対策特別措置法は昨年5月に成立し、内閣官房では現在、今年春の法施行に向けて有識者会議による諸課題の検討が進められている。


流行の発生時には政府が緊急事態を宣言し、そうなると、都道府県知事が住民に外出の自粛を要請し、学校・興行施設の使用制限も指示できる。国民の生活にも影響が大きいうえ、感染症対策の専門家の間でも法律の必要性、有効性については疑問が持たれていることから日本感染症学会は10月12日、特措法をめぐる緊急討議を開いている。


会見ではこの緊急討議を踏まえ、喜田教授(右)にウイルス学の観点から、渡辺教授には臨床の立場から報告していただいた。高病原性鳥インフルエンザがその後、人に大流行した歴史的事実はなく、「国内で64万人が死亡」といった流行は起こりえない。ただし、トリのウイルスがブタに感染を繰り返すとヒトのレセプター特異性を獲得するので、ブタインフルエンザのサーベイランスは重視する必要があるという。


また、インフルエンザには新型も旧型もなく、季節性インフルエンザ対策をきちんと進めることが大切。09年の経験は抗インフルエンザ薬が「新型」にも有効なことを示しており、第一波はタミフルやリレンザでしのぎ、その間にワクチンを用意する方がプレパンデミックワクチンの備蓄に頼るより現実的だという。


特措法に関しては今後、内閣官房や有識者会議の専門家の見解も聞き多角的な視点でフォローしていく課題といえそうだ。


ゲスト / Guest

  • 喜田宏・北海道大学教授、渡辺彰・東北大学教授 / Hiroshi Kita, Professor, Hokkaido University  Akira Watanabe, Professor, Tohoku University

研究テーマ:研究会「新型インフルエンザ等対策特措法」

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