2012年05月08日 14:00 〜 15:00 宴会場(9階)
シリーズ企画「3・11大震災」原発再稼働問題 嘉田由紀子・滋賀県知事

会見メモ

滋賀県の嘉田由紀子知事が原発の再稼働問題についての考えを述べ、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 瀬口晴義(東京新聞)

使用した資料
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/05/575ef95d8085c251781836c78a6e7595.pdf

滋賀県ホームページ

http://www.pref.shiga.jp/


会見リポート

再稼働 備えできるまで待って

結城 公生 (京都新聞東京支社長)


福井県の若狭湾周辺には、原発14基が集中する。滋賀県境まで最短で13㌔。「行政の境界とは無関係。原発事故が起きれば、地元の漁師さんがマキタ、マニシと呼ぶ北風、西風に乗って、琵琶湖にも放射性物質が飛んでくる」。豊かな生態系を保ち、近畿1450万人の命の水源でもある「琵琶湖を預かる知事」の発言は重い。


琵琶湖研究に取り組んできた環境社会学者として、かねて原発事故の影響を懸念。でも、知事就任後は原子力の危険性について言及を控えてきた。「住民のため、未来のためになるのかと考え、やはり不安だと言うべき」と「封印」を解いた。


この1年間、関西広域連合とも連携して、県独自に原子力災害対策を見直し、放射性物質拡散シミュレーションも公表。「被害地元」として関西電力などに安全協定締結を求めるなど施策を講じてきた。山田啓二京都府知事と共同で、7項目の原子力政策への提言を提案して、国の姿勢をけん制。「福島の受難、苦しみを受け止め、日本の未来をどう作っていくのかは、国政だけではなく地方の政治家の責任でもある」と語る。


持論は「卒原発」。電力なしに産業や暮らしは成り立たず、すぐに脱原発とは言えない。再生可能な自然エネルギーへかじを切りつつ、生活様式も省エネに改めるとの立場だ。「決して後ろ向きではなく、日本が新エネルギー産業へ投資していく契機にもなる」と訴える。


関電大飯原発へも足を運んだ。「応急措置はできていても、恒久措置はまだ。これで安心できるとは言えない」。「再稼働ありき」の印象をぬぐえない国や電力会社の姿勢に、不信といら立ちを募らせる。県民の避難計画などを紹介しつつ、「自治体を預かる立場から、せめて備えができるまでは、待ってくださいと言いたい」と注文を付けた。



ゲスト / Guest

  • 嘉田由紀子 / Yukiko Kada

    日本 / Japan

    滋賀県知事 / Governor, Shiga Prefecture

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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