会見リポート
2026年07月30日
15:00 〜 16:30
10階ホール
「イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響」(13) 開戦から5カ月/中東のパワーバランスの崩壊と"再生" 高橋和夫・放送大学名誉教授
会見メモ
イスラエルとアメリカがイランへの攻撃を開始して、5カ月を迎えた。アメリカとイランは戦闘終結に関する覚書に合意したものの、ホルムズ海峡をめぐる対立から戦闘は再開され、停戦は有名無実化した状態にある。
国際政治、中東問題を専門とする放送大学名誉教授の高橋和夫さんが「開戦から5カ月/中東のパワーバランスの崩壊と"再生"」と題し話した。
司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)
会見リポート
「イランのイスラム体制は象徴化へ」
原田 健男 (元JNNカイロ支局長・山陽放送出身)
イスラエル・アメリカ合衆国とイランの間の攻撃・応戦は停戦合意したにもかかわらず、続いている。会見した高橋和夫放送大学名誉教授は、アメリカのトランプ大統領が攻撃をやめない限り、この状態が続くという見方を示した。それにしても超大国アメリカがこれだけ猛攻をしても何故イランは耐えられるのか、高橋名誉教授は5つの理由を挙げた。①イラン革命・イランイラク戦争を戦った強靭な反撃能力 ②最高指導者を含む各部門のトップが殺害されても次官がすぐ後を継げる堅固な官僚制 ③ホルムズ海峡封鎖をマニュアル化したモザイク防衛システム ④アメリカ・イスラエルの戦闘機爆撃・ミサイル攻撃に対応したドローン・ミサイル・超音速ミサイル等の非対称攻撃戦略 ⑤読み書きできない人を無くした教育水準向上の成功である。
一方でペルシャ湾岸のアラブ諸国とアメリカは、各国にあるアメリカ軍基地がイランのミサイルで攻撃されるなど、これまでのイラン包囲網の再検討を余儀なくされている。特にイランのミサイルが直接飛んでくるようになったアメリカ軍基地では基地の移動や撤退を検討する可能性もあるとのことだ。サウジアラビアをはじめとする湾岸産油国に原油や天然ガスを頼っている日本としては気になるところだが、残念ながらホルムズ海峡の行方は不透明だ。
だが高橋名誉教授は望みもないわけではないと話す。それはイスラム革命後も近代化が進んだイランの姿だ。最高指導者も3人目となり、カリスマ性も薄まってきて「象徴化」ともいえる形に変わりつつある。そういえば政府は女性のベール強制を弱め、最近首都テヘランではベールをかぶらない女性も増えてきたそうだ。アメリカの言う体制転換は無理にしても、ホルムズ海峡の自由通行を妨げない近代国家に育ってほしいものだ。
ゲスト / Guest
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高橋和夫 / Kazuo TAKAHASHI
放送大学名誉教授 / Professor Emeritus, Open University of Japan
研究テーマ:イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響
研究会回数:13
