取材ノート
ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。
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府中刑務所 視察(2024年2月)
受刑者「さん」付け戸惑いも(丸山 伸太郎 熊本日日新聞社地域報道本部社会担当)2024年4月
2月、日本記者クラブの視察団として、東京都府中市にある国内最大の刑務所「府中刑務所」を訪れた。20万平方㍍超の広大な敷地を高さ5㍍超の塀が囲む。建物は想像していたよりも古い印象。空調が十分効いていないのか、「施設内の温度は屋外とあま...
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書いた話/書かなかった話
「やっぱり、戦争は嫌いだ」 /―大岡昇平と福田恆存(小山 鉄郎)2024年4月
1988(昭和63)年12月27日。2日前に79歳で亡くなった作家、大岡昇平さんのお別れ会があった。大岡さんの遺志で葬儀・告別式はなかったが、大岡さんの死を悼む人たちが「どうしてもお見送りを」ということになって、一般に公表はせずに、...
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リレーエッセー「私が会ったあの人」
祖母をあやめた21歳のケアラー/心を寄せる手紙を励みに(春増 翔太)2024年4月
支局に電話がかかってきたのは、月に何度かある夜勤の時だった。受話器を取ると、電話主の女性は小さな声で自分の名を告げた。神戸支局にいた2020年の秋。その声を、私は法廷でしか聞いたことがなかった。2カ月前、彼女が問われた罪状は、殺人だ...