2014年02月19日 15:00 〜 16:00 10階ホール
詩人の長田弘さんを囲む会

会見メモ

福島市出身の詩人の長田弘さんが、詩集『奇跡―ミラクルー』で毎日芸術賞を受賞した契機に、東日本大震災復興でのあるべき考え方や、人にとっての風景や国家の意味などについて話した。

司会 星浩 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)

2013年4月5日に著者と語る『なつかしい時間』のゲストとして話した際のページはこちら。

http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2013/04/r00025571/


会見リポート

ふるさと福島へ 感受性を耕し、言葉を紡ぐ

竪場 勝司 (朝日新聞ジャーナリスト学校主任研究員)

「復興の思想の中で、『美しい風景を取り戻す』ことがほとんど語られていない」。福島市出身の詩人・長田弘さんは、何度も「風景」という言葉を繰り返した。


隅田川にかかる永代橋は関東大震災後に建設された、復興のための橋だ。長田さんは『永代橋工事』という詩を書いた木下杢太郎という詩人がいたことを紹介。永代橋の建設を担当したのは木下の実兄だった。この橋の工事で、一番大切にされたのは、風景を「美観」として生かすことだった。


東日本大震災後、最も歌われた歌は「ふるさと」だといい、ふるさととしての「国」をなくす形で、われわれは歩んできたのではないか、と近代の在り方に疑問を呈した。毎日芸術賞を受賞した近刊の詩集を『奇跡─ミラクル─』とした理由については、「一番当たり前と思われていたものが、一番大事な奇跡であると思い知らされたのが、大震災だった」と語った。


「詩人は金にならない」と笑いながら、感受性を耕す「言葉の農夫」だと自分を規定する長田さん。言葉を紡ぐプロとしての矜持が、垣間みえる思いがした。


ゲスト / Guest

  • 長田弘 / Hiroshi Osada

    日本 / Japan

    詩人 / Poet

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