2012年11月12日 15:00 〜 16:00 10階ホール
アルアハラム紙編集主幹を囲む会

会見メモ

エジプトのカマル・ガバラ(kamal Gaballa)編集主幹が、モルシ政権の内政の課題やメディアの現状などについて話し、記者の質問に答えた。ガバラ氏は、東京特派員(2001~2005)の経験があり、2009年から現職です。

司会 日本記者クラブ企画委員 脇祐三(日本経済新聞)

通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)

アルアハラム紙ウェブサイト(英文)

http://english.ahram.org.eg/

日本記者クラブのページ

http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2012/11/r00025041/


会見リポート

軍事国家にも宗教国家にもならない

平田 篤央 (朝日新聞GLOBE記者)

「エジプトは軍事国家にも宗教国家にもならない」。そう何度も繰り返した。

エジプトを代表する政府系紙アルアハラムの編集主幹だが、客観的な分析というより、世俗派リベラルという自らの立ち位置を明確にして現状を解説した。

昨年2月にムバラク長期独裁政権が倒れて1年9カ月。この間、下院にあたる人民議会、上院にあたる諮問評議会で選挙が行われ、大統領選挙も行われた。いずれも民主的な自由選挙で、エジプトは着実に民主化に向かっているように見える。だが、ガバラ氏は選挙の結果にエジプト人の多くはショックを受けたという。

上下両院ではいずれも、穏健派イスラム団体のムスリム同胞団が結成した自由公正党と、サラフィストと呼ばれる宗教的により厳格な政党をあわせ、いわゆるイスラム主義者が議席の4分の3を占めた。大統領選挙では、自由公正党のムルシ氏が決選投票を制した。

「大統領選の第1回投票でムルシ氏の得票率は25%。なぜ議会選でイスラム主義者が75%を握るのか。みな何か変だと思っている」

エジプトでは新憲法の制定が進んでいるが、ガバラ氏はモルシ政権への警戒感を隠さない。「われわれはイスラム主義者を革命のパートナーだと思っている。だが、彼らが国家に宗教色を付けようとすることは受け入れられない」

選挙結果を民意だとうのみにしないでほしい、というのがガバラ氏の主張だ。ムバラク時代に政権を100%支持していた西側民主主義国家が、イスラム主義政権になったら、それを100%支持している姿に「ふつうのエジプト人は驚いている」と。

2001年から2005年まで東京特派員。「日本で春は桜の季節だが、アラブでは、春はほこりっぽくて暑くて嫌われている」と、外国メディアのつけた「アラブの春」のレッテルを皮肉った。


ゲスト / Guest

  • カマル・ガバラ / kamal Gaballa

    エジプト / Egypt

    アルアハラム紙編集主幹 / Managing Editor , Al-Ahram Newspaper

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