2024年03月22日 14:00 〜 15:00 10階ホール
「<政治とカネ>を問う」(6) 久米晃・元自民党本部事務局長

会見メモ

最初に選挙にかかわったのは学生時代の1973年。その後、業界紙記者を経て1980年に自民党本部職員となり、党選対本部事務部長などを歴任、2019年に退職した。

約半世紀にわたり選挙に携わってきた。

今回の問題を受けあらためて政治改革大綱を読んだという。「ここに書かれていることがすべて反故になっている」「自民党は何をやっても政権交代はないという安心感、おごりから起きていることではないか」と解説。

選挙とカネについては、企業の営業活動になぞらえながら選挙資金の流れ、必要性を説明。「活動資金が滞れば、営業できず、商品は売れない」「最低限の活動資金は必要」とした。

質疑応答では、政治とカネに加え、今後の政局や政治が信頼を取り戻すために何が必要なのかなど幅広い質問に応じた。

 

司会 川上高志 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

選挙はカネがかかるもの

大石 格 (日本経済新聞社編集委員)

 「全部、反故になっている」。現在の政治資金問題の原因は、自民党がリクルート事件を踏まえて1989年につくった政治改革大綱をないがしろにしたことにあるという。「派閥の弊害を除去するため、(政治資金)パーティーはやらない。党役員は派閥を抜けなくちゃダメですよ、と書いてある」

 岸田文雄氏が閣僚在任中にパーティーを開き、派閥会長のままで総理に就いたことを例に挙げ、「党の緩みがこういうところから出ている」と指摘した。背景にあるのは、一強多弱の政治状況がもたらす「絶対に政権交代はない」という自民党のおごりであり、「関係者の処分をよっぽど厳しくしないと支持率は回復しない」との見立てを示した。

 ただ、政治資金を丸ごと批判する現在の風潮には強く反論した。自民党が全国に張り巡らす地方組織を企業の営業所になぞらえ、その維持には「当然の営業経費」が必要であり、「ポスターを貼れば日当もかかるし、ビラ代もかかるし、座談会をやれば会場の経費もかかる」「買収資金でなく、最低限の活動資金」と説明した。

 面積が大きな選挙区では「後援会事務所を3カ所、4カ所」「移動するにもガソリン代がかかる」「何でもかんでも一律に同じにやれというのがどだい無理な話」などの事情にも触れ、「選挙はカネがかかるものなんだと理解して、政治とカネの問題を話してもらいたい」と訴えた。

 メインテーマは「政治とカネ」だったが、そこは〝選挙の神様〟である。「昔は票読みができる選挙のプロがいて、その確認のため世論調査をした。今は読めるプロがいなくなり、世論調査で票読みをする。主客転倒だ」などの興味深い話が続々。衆院選の時期は「(岸田総理の)やけっぱち解散なんてない。選挙は勝つためにやるのだから」とのご託宣だった。


ゲスト / Guest

  • 久米晃 / Akira KUME

    元自民党本部事務局長

研究テーマ:<政治とカネ>を問う

研究会回数:6

ページのTOPへ