2016年12月09日 11:30 〜 13:00 9階会見場
横倉義武 日本医師会会長 昼食会

会見メモ

来年10月に世界医師会長就任が内定している。日本人で3人目。「日本医師会の政策実現能力は国際的に評価されている。アフリカの公衆衛生への貢献や国境なき医師団との協力などもやりたい」。長年取り組んでいる「かかりつけ医」普及の重要性も訴えた。

 

司会 傍示文昭 日本記者クラブ企画委員(西日本新聞)


会見リポート

医療めぐる課題山積 次期世界医師会長の抱負と処方箋

尾﨑 雄 (日本経済新聞出身)

「日本医師会のように政府と対等に議論でき、国の医療政策に提言できる医師会は少ない。日本医師会の政策実現能力は世界医師会の中で多くの医師会から高い評価を得ている」

 

12月9日の昼食会で日本医師会・横倉義武会長は語った。横倉会長は日本医師会創立100年目にあたる2016年、世界医師会・会長に選出され、2017年10月に正式就任する。日医会長が世界医師会・会長になるのは武見太郎、坪井栄孝氏に続いて3人目。冒頭の発言は、陰の厚生大臣に比すべき威勢を揮った武見会長が示した日医の存在感を改めて世間に発信する格好である。「次期会長に選出後、アフリカにおける公衆衛生の確立、安定した医療と確保と維持、Universal Health Coverage に向けた取り組みへの支援を要請された。わが国医療の国際貢献の国際貢献の一環として協力していきたい」と抱負を語ったが、国内の課題は山積している。

 

高額な医薬品の登場などによって国民医療費の膨張がいちだんとクローズアップされ、変化する医者と患者の関係、群馬大病院の不適正手術、千葉大医学部生の暴行事件など不祥事が絶えない医療現場や医学教育の在り方といった問題にどう取り組むべきか。医療費膨張の批判には医療・福祉の雇用誘発係数が「かなり高い水準である」とし、「医療に財源を投入すれば、特に医療従事者の比率が高い地方では経済活性化により、経済成長を促し、地方創生への多大な貢献につながる」と強調。持続可能な社会保障のためには、財政主導ではなく、「われわれ医療側から過不足ない医療提供ができる適切な医療を提言」すると、医師会の基本姿勢を明らかにした。

 

オプジーボなど高薬価薬剤については「必要とする医療が過不足なく受けられる社会づくり」のために「安全性・有効性が確認された新しい医薬品は速やかに保険収載されるべきだ」と明言。一般国民に向けては、「健康寿命の延伸」のために「かかりつけ医」を持つことが必要と強調。今年度から「日医かかりつけ医機能研修制度」を実施し、6000人を超える医師が受講したという。消費税増税については、「3党合意で決めた国民との約束だから、やってほしい」とキッパリ。世界から「高い評価を得ている」と自負する日医の力を世界医師会にどう反映するか注目したい。


ゲスト / Guest

  • 横倉義武 / Yoshitake Yokokura

    日本 / Japan

    日本医師会会長 / Chairman, Japan Medical Association

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